誰かを求めることは、即ち傷つくことだった〜宇多田ヒカル「One Last Kiss」

2021/05/02
誰かを求めることは、即ち傷つくことだった〜宇多田ヒカル「One Last Kiss」
宇多田ヒカルの新しいDCが3月に発売されたというので。
数少ないCDショップを検索かけて探して、買いに出掛けたのだけど。

注文しないとない、という。
え? と思ったけど、まあ、注文しておこうと。

1週間ぐらいかかるようなことを店員さんは言ってたけど、
割と早くに入荷連絡が来た。

新しいCDにはトラック8まで。でも2曲はインストルメンタル。
それから、「桜流し」と「Fly Me To The Moon」はどこかのアルバムに入っていたもの。
…まあ、「Fly Me To The Moon」は私のお気に入りだから。許す。ことにする。

CDを購入するのは、車の中で聴くため。
普段は、YouTubeでアップされているのを聴く。
今も、「作業用 One Last Kiss 1時間耐久」なるものがあって。
(「1時間耐久」ではない。1時間天国だ」というコメントがあって。なるほど! といいねした) 

「初めてのルーブルは
 なんてことはなかったわ
 私だけのモナリザ
 もうとっくに出会ってたから」

そんな軽快な「語り」から始まる。


そうね。
大事なのは。どんな風に、「私だけの」に出会えるか、だから。


「初めてあなたを見た
 あの日動き出した歯車
 止められない喪失の予感」

そうね。
終わりが見えている、けれど、誰にも止められない、ことも
「わかる」というのは。
ある程度生きてきての「経験値」かもしれない。


「写真は苦手なんだ
 でもそんなものはいらないわ
 あなたが焼きついたまま
 私の心のプロジェクター
 寂しくないふりしてた
 まあ、そんなのお互い様か
 誰かを求めることは
 即ち傷つくことだった」

今回の秀逸は「誰かを求めることは/即ち傷つくことだった」。
私の耳は釘付けになった。

ああ。そうね。
誰かを求めた、とて。
淋しさは埋められるものではない。
誰かがいてくれたら、それで淋しさから解放される、と思うのは幻想だ。

自分の心の空白は。
自分で満たすしかない。

ということを、やっと理解できる歳になりました。
それが分かれば。怖いものは、ない。
還暦を迎え、また歩き始めます。

画像は、32年前の教え子が用意してくれた誕生日ケーキ。
甘酸っぱくて、甘さがあとを引かず、令和の味がしました。