2021年1月3日の「折々のことば」。ジークムント・フロイトの言葉。
百パーセントのアルコールがないように、百パーセントの真理というものはありませんね。
鷲田清一の解説。
オーストリアの作家、ツヴァイクは、友人でもある精神分析家がふと口にしたこの言葉が忘れられない。
《無意識》という暗部にメスを入れたフロイトにとって、不快だ、危険だという理由でそれに蓋(ふた)をすることはありえなかった。
人は認知も制御もしえないものを内蔵するからこそ、つねに覚醒を心がけねばならないのか。
作家の回想録『昨日の世界 Ⅱ』(原田義人訳)から。