精神的に、とても不安定な状態で来られた方がいます。
お聞きすると、つい最近に離婚が成立した、ということでした。
女性の場合には、離婚が成立するとサッパリした、という方が多いのですが、
男性の場合には、なかなかスッキリはしない、ようです。
「気づきノート」に取り組んでいく、ことにされたのですが、私はその方の言動に、
「取り組んでいくのは、ちょっと難しいだろうなあ…」と思い始めました。
それはなぜだと思いますか?
「自分を救ってほしい!」という要求
こんにちは。
奈良・生駒でカウンセリングルーム沙羅Saraを開設しています葛原昌子と申します。
何度も電話をかけて来られて、私が出られないでいると、
「死にたいです。でも死にたくないんです。助けてください。」
と夜中に何通もメールを送って来られる。
すぐさまの私の返事を待っていらっしゃるようなのです。
しかし、私は少しクールダウンさせないと、と考えて時間を置きます。
それがもう待てないようなのです。
私は、次のようにお返事をしました。
「私は、人は人を救うことはできないと考えています。
人を救うのは神か、もしくは宗教の教祖ぐらいです。
ですが、その場合、全てを委ねることになります。
私はあなたを救うことはできません。
あなたが自分で自分を救うことの手助けはできます。」
書きながら、ああ、そうなんだ…と思い至ったのは、
「気づきノート」は、自分で自分の人生をなんとかしたい!
と思わない限り、効果が出ない、ということ。
もちろん、あまりに辛い時には、
誰かに「助けて!」という気持ちになることはあります。
そして、そういうふうに口にするかもしれません。
ですが、基本、自分の足で立って、
自分の足で立つがゆえに、よろめきそうになるのを
少しの間、支えてほしくなる、のだと思います。
全部を寄りかかって、は難しい。
「料金を払ったから、救ってほしい」
「経済的に苦しいので、また一日二食生活になります」と言われて、
「いや、まず、きちんと一日三食の食事をしましょう。
そうでないと、ものごとを悪い方にばかり考えることから抜け出せないし、
自分を見つけることもできません」と全額返金したのですが、
返金した後に来たメールには、「ダメだったら、と怖かったんです」
とありました。
ご自分で「取り組みたい」と言われるからお勧めしたわけですが、
本当のところ、ご自分で選択されたことではなかった、のですね。
この、「自分で選択できない」というのが、
この方の抱えていらっしゃる問題のように私は思います。
離婚の際にも、本当はご自分は離婚したくなかったのに、
自分の方から弁護士を立てることを言ってしまった…とお聞きしました。
「なぜ?」と聞いていくと、なかなか答えられず、ようやく出てきたのは、
「そう言うと、妻がびっくりして考え直してくれると思った」。
うーん。離婚の方向に進んで行きたくないなら、
「いや、そういうことではないんだ」と仕切り直しの機会もなかったわけではない、
と思うのですが。
本当は自分が何を望んでいるのか、
自分は何をしたいのか、
どういう人生を歩みたいのか。
そういったことを「見つめ直そう」とする位置に立つ決心ができないと、
「気づきノート」も進みません。
こんなふうに、その方の抱える問題は
カウンセラーとのやりとりの中に再現されます。
「自分の人生を選択する」覚悟は、女性の方が強い気がしています。
<追記>
メルマガで、このコラムを読んだご本人から、お礼とお詫びのメールが届きました。
ご自分の抱えている問題に、どう気づいてもらえるか、と少し心痛めていたのですが、
受けとめていただけて、私も安心しました。