子どもさんの不登校でご相談に来られている方がいらっしゃって、
高校生だったので、欠席日数もかさむと進級が危ぶまれる状態でした。
この子の辛い状況を軽減するために、お子さんに意思を確認して、
通信制高校へ転校した。
にもかかわらず、またもや「死にたい」とばかり言ってくる。
それで、困り果てている、とのことでした。
確かに、お子さんから「死にたい」などと言われたら、
親としては本当に辛いですよね。
そんなふうに対応していったらいいのでしょう?
死にたい、は、生きたい、の裏返し
こんにちは。
奈良・生駒でカウンセリングルーム沙羅Saraを開設している葛原昌子です。
そうですね。お子さんからそんなことを何度も言われると、
親としては本当に辛いですね。
ですが、その言葉を「言葉どおり」に受け取ってはいけません。
「死にたい」というのは、「生きたい」ということの裏返し、なのです。
「生きたい」思いが強いからこそ、思うようにならない「現実」が「死にたいほど辛い」。
どうでもよければ、そんなふうにはならない。
だから、言葉どおりに受け取るのではなく、
「ああ、そんなふうに感じるぐらい、今、辛いのね」と返しましょう。
私の場合は、「なんで産んだんか?」と言われました。「生まれたくなかったのに…」
22時間の陣痛に耐え、その後帝王切開になって生まれた子でした。
あまりの言いように、私は言葉を失いました。
やっとのことで口にしたのは「私があなたに会いたかった、からよ」でした。
それで答えになっているかどうか、は分かりません。
けれど、なんらかの「思い」を伝えるべき時が、一度や二度、あります。
子どもは崖っぷちにいて、必死になって、何かつかむものを手にしよう、と
もがいているのです。
その言葉がどれだけ親であるあなたを傷つけているか、など
考える余裕がないのです。
だから、そんな子どもを受け止める、体勢を整えるのに、
あなたは少し、時間がかかるかもしれません。
でも、その場でなんとか、言葉を返す必要があります。
あなた自身の存在を掛けた言葉を返す必要、です。
さて。それにしても「思うようにならない現実」を変えていくには、
どうしたらいいのでしょう?
それは、お子さんが抱えている問題を、「スモール・ステップ」
すなわち、大きなハードルをいくつかの小さなハードルに変えていくことです。
やるべきことがたくさんあって、何から手をつければいいのかわからない場合には、
まずは、「やるべきこと」を全部、書き出しましょう。
そうして、一番取り組みやすそうなものは何か、を選ぶ。
それを「1」とすれば、他のものは、それぞれどのくらいの「大変さ」を抱えているのか
数字で表してみる。
それで、取り組みやすいものから取り組む、といったような
「優先順位」をつける。
「5」とか「10」のものは、さらに小さな段階に分解する。
そうすると、もうどうにもならない、と思っていたものでも
何か、取っ掛かりがあることに気づける。
そうですね。高いハードルの前に尻込みしているお子さんも、
あ、これならまたいで通れるわ、と自信がついたら、
ほんのもう少し、…そうですね、1センチ高いものだったら、
また、「あ、大丈夫!」が作れる。
そうやって、自信をつけながら、「大丈夫!」「私できる!」を作っていく。
膨大に見える課題を前に、何から取り組んでいいのか分からないから、
茫然と立ち尽くしているお子さんから投げられた「死にたい」に
同じように、茫然とするのではなく、
「一緒に考えようか?」と声掛けしながらやっていく。
そのためには、親であるあなたの精神状態の安定が必要ですよね?
これまでの、お子さんへの対応で、へとへとになっているお母さん、
一度、私に会いに来られませんか?
お母さんにも、ほっと一息つく時間が必要だと、私は思います。