こんにちは。
奈良・生駒でカウンセリングルーム沙羅Saraを開設している葛原昌子です。
高校生のお子さんのことで、相談に来られているお母さん。
コースで受講されて、5回目。
ご自分のことを、「ヘリコプターペアレント、ではないですが…」
と言われ、耳慣れない言葉に、ん? と思って。
ヘリコプターのように、
いつも子どもの周りをつきまとって監視し、
干渉し続ける親のことを言うのだそうです。
調べてみると、
“自分の子どもに対し過保護なあまり、他人に迷惑を掛ける「モンスター・ペアレント」の中でも、
特に子どもにつきまとい、子どもとその周囲の人間を監視するなどの行為が目立つ親のこと。
ヘリコプターのような、親が子どもの頭上を旋回するイメージから付けられた呼称。
具体例としては、子どもの職場や学校についてくるなどの、常識に照らすと考えにくい行動を取る親が該当する。”
(『実用日本語表現辞典』)
とのこと。
子どもがしんどそうにしていると、
もう居ても立ってもいられなくて。
それで、矢も楯もたまらず、動き出していた。
しかし、それで問題が解決したか、というと
そうではない。
取りあえずは「学校を休ませる」などして、
子どものパニック状態が収まったりはするけど、
しかしいつまでもその問題回避の方法で、
やっていけるわけではない。
しかし…他にどんな方法があるのか…
とカウンセリングに見えたわけです。
カウンセリングを受け始めて、
「すぐに出動!」「すぐに救出!」がこれまでだとすると、
今は、違ってきた、と言われました。
ヘリコプターには乗り込んでしまうのだけど、
そして、一旦上空までは上がってしまうのだけど、
そこで待機、ができるようになったのだとか。
気になるから様子は見るけど、
とりあえず、救出せずに待機しています、と。
ああ、なんか…素敵だな、と思いました。
そう。へその緒は切ったのに、
なぜかまだ繋がっていて。
それで、自分がケガするより、子どもがケガするのが辛い。
痛い。苦しい。
それで、ケガをさせないように動いてしまう。
身体が勝手に動いている。
けれど、母のその「動き」は、
決して子どもを救済していなくて、
だから問題は解決しない。
そう。頭では分かっている。待たないと、と。
分かってるんだけど、動いてしまう。
でも、カウンセリングも5回目になって、
3ヶ月目に入ると、様子が違ってきた。
身体は動いて、「出動」はしてしまうけど、
でも「上空で待機」ができるようになった、と。
折り合いをつけられるようになったんだな、と思いました。
自分を観察しながら、
でも! 自分に振り回されないで、
どのあたりが、自分に「ちょうどいい」キョリなのか
計っていらっしゃるように思いました。
そして、それでいいのだと思います。
子どもとの距離を取る、と言っても、
なにか、境界線が見えているわけではない。
自分で、子どもとのキョリを計りながら、
自分に「ちょうどいい」キョリを探して、
けれど、それが絶対的なものでもなくて、
暫定的に、「今は、このキョリで」。
すぐに救出!ではなくて、待機しています。
と言われて微笑まれたお顔が素敵でした。