折々のことば。2025年1月3日の高野公彦の言葉。
ングルありンジャナメもある世界地図見つつ愛(いと)しむ日本のいろは 高野公彦
鷲田清一の解説。
正月に歌留多(かるた)に興ずる人はうんと減った。
歌人は戯れに、昭和以降の短歌から「いろはかるた」を編んだ。
が、「ん」で始まるものはなく、自ら創作。
「ングル」はナイジェリアの、「ンジャナメ」はチャドの都市名(読みは正しくは「ンジャメナ」のよう)。
札の字列で確かめる前に音でだけ語にふれると、言葉の妖(あや)しい佇(たたず)まいにぞくっとすることがある。
「歌壇」1月号から。
五十音図にしても、いろは歌にしても。
「ん」は最後、だよねえ。
五十音図もいろは歌にしても、平安期に成立した、と習った、けど。
(そしてそのまま、授業で教えたけど。)
「ん」で始まる言葉は、ないか。日本語では。
でも、世界は広いから。と言いつつ。よく探してきたねえ。
(根性で探した気がする。。)
「ん」表記が生まれたのは、江戸期に入ってから、と聞いた気がする。
だからそれまでは「む」表記。
「ん」は漢字の「无」から生まれたもの。
あ、ひらがなは漢字全体を崩したもの。(安→あ、以→い、宇→う、衣→え、於→お)
カタカナは、漢字の一部から作ったもの。(「阿」の「こざとへん」からア、伊の「にんべん」からイ、宇の「うがんむり」からウ、江のつくりからエ、於の「ほうへん」からオ)
小学校でひらがなから習うから、ひらがなが生まれた方が先、と思いがちだけど、元々はお経を読むために、「漢文訓読」(中国語を日本語の語順読みにする)のためにカタカナは作られたから、カタカナが先。
と教えた。(どう? 恭代さん。思い出した?)
それにしても。「いろはかるた」。しないよねえ…。
「犬も歩けば、棒に当たる」とか、あれ、「いろはかるた」だったっけ?
「犬も歩けば…」も今では解釈は2つだとか。
元々は「だから、余計なことをするな」だったらしいけど、今では「何に出会えるかわからないんだから、いろいろやってみなきゃ」だそうな。
うーん。そうね。やっぱり「いろいろやってみなきゃ」の方が、前を向いて歩いていけそうな気がする。
あ、話が外れました。
「言葉の妖しい佇まい」って。「妖」の字を使うんだ。
妖艶な感じ? なまめかしい?
…そうね。音で聞くと。「ぞくっとする」って。
でもまあ、わかるような気もするけど。
「ん」から始まる言葉に慣れていないから、その音の感触にぬるりとしたものを感じる、のね。
…確かに。「ングル」も「ンジャナメ」も。(「ンジャナメ」は正式には「ンジャメナ」なんだと訂正を入れているのが面白い。)
高野公彦さん。引用に、ちょっと焦った? それとも。誤謬(ごびゅう)を冒しても、その音にしたかった?
とまあ、いろいろ考えることがありました。
画像は、今年の「しめ縄」。実は、クリスマス用のに、ちょっといろいろ付け替えをして、最後に赤い紙を買ってきてリメイクしたものでありました。(今日は1,200字)