「旅 上」 萩原 朔太郎
ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめては新しき背広をきて
きままなる旅にいでてみん。
汽車が山道をゆくとき
みづいろの窓によりかかりて
われひとりうれしきことをおもはむ
五月の朝のしののめ
うら若草のもえいづる心まかせに。
(『純情小曲集』 1925年刊)
「読書への誘い」の第38号で紹介した詩です。萩原朔太郎の時代のフランスへの旅は、船だったでしょうね。とすると、ひと月以上かかったでしょうか。「ふらんす」とひらがな表記されると、ノスタルジー漂う、柔らかなイメージに包まれた外国、フランスがぽっかりと遠くに浮かんで見えます。
そのイメージを抱かせつつも、汽車に乗ったシルクハットの男(ここはどういうわけだか、シルクハットがお似合いのような気がする…)が窓際の席でひとり肘をつきながら、物憂げに窓の外を眺めている…というイメージが続きます。
…なんだか打っていて、私は「妄想逞しい」のかしら…とふと思ってしまいました。
まあ、ともかく、男はひとり旅な訳ですね。けれど、次第にウキウキしてきます。(しののめとは「東雲」と書き、夜明けの赤く染まった雲を意味します。)初夏の早朝、気ままな旅を楽しむことにするのですね。「うら若草のもえいづる心まかせに。」とありますから、「萌え出づる心」ーーワクワク感満載です。
ふらんす、とまでいかないけど、国内の初夏の気ままな旅もまあいいか…。そんなところでしょうか。最初の2行がやたらと印象に残り、切ない詩なのかしらと思ってましたら、意外な展開でした。
私もふらんす、とまでいかないけど、母と杏樹(アンジー)連れて、長崎のハウステンボスに行ってきます。
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