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「好き!」という気持ちがなせるワザ〜入沢康夫の詩「未確認飛行物体」〜

2017/10/11
「好き!」という気持ちがなせるワザ〜入沢康夫の詩「未確認飛行物体」〜

今日は、タイトルからイメージした詩の内容がかなり違っていて、ん? と思う詩を。

入沢康夫の「未確認飛行物体」という詩です。

「読書への誘い」第57号で紹介しました。

  「未確認飛行物体」  入沢康夫

 

 薬罐だつて、

 空を飛ばないとはかぎらない。

 水のいつぱい入った薬罐が

 夜ごと、こつそり台所をぬけ出し、

 町の上を、

 畑の上を、また、つぎの町の上を

 心もち身をかしげて、

 一生けんめいに飛んで行く。

 天の川の下、渡りの雁の列の下、

 人工衛星の弧の下を、

 息せき切つて、飛んで、飛んで、

 (でももちろん、そんなに早かないんだ)

 そのあげく、

 砂漠のまん中に一輪咲いた淋しい花、

 大好きなその白い花に、

 水をみんなやつて戻つて来る。

  (詩集『春の散歩』1982年・青土社刊)



「未確認飛行物体」って、いわゆる「UFO」ってやつですよね。

薄い円盤形の、ちょっと近未来的でスマートな。

得体が知れなくて、謎めいていて。

でも、とっても動きが速くて、私たち地球の技術では追いつけなくて。

で、「未確認」に終わってしまっている。

 

なのに、薬罐(やかん)、だなんて。

まるっこくて、…そうね、ちょっとあちこちポコッとしたへこみがあったりして。

 

その、まるでスマートとは縁遠い薬罐くんが、空飛ぶのね。

町を越え、畑を越え、また別の町を越え…。

「天の川の下、/渡りの雁の列の下、/人工衛星の弧の下を、」って、また雄大な。

息せき切って、どこに行くのかというと、

なんと、砂漠。

 

「砂漠のまん中に一輪咲いた淋しい花、/大好きなその白い花に、/水をみんなやつて戻つて来る。」

だなんて…。なんていい奴なんだろう!

それも、「夜ごとに」だから毎夜毎夜、なんだよね。

健気(けなげ)だよね。

「こっそり台所を抜け出」すんだから、誰にも知られないようにして。

(そりゃあ、薬罐が空飛んでたら、みんな驚くわ。)

 

薬罐くんのはやる気持ちが「心もち身をかしげて、/一生けんめいに飛んで行く。」「息せき切つて、飛んで、飛んで、」に表れていて。

でも残念なことに、「(でももちろん、そんなに早かないんだ)」なんて。

うーん、なんか、太っちょさんがフウフウ言いながら走っているみたいで。

全くもってかっこよくないんだけど、でも、なんだか、ね。

ほほえましいような、暖かいような。

 

誰かを好きになるというのは、こんなふうに、いろんなことが出来ちゃうんだね。

でも、自分が水をあげに行かないと!という使命感は、薬罐くんには嬉しいんだろうなあ。

だって、なんにせよ、毎晩会えちゃうわけだから。

 

それにしても…砂漠に咲いた一輪の花を、薬罐はどうやって見つけたんだろう…?

あ、空っぽの身軽なまま、ふらふらと夜間飛行してたんだね?

台所、抜け出して。

ちょっと、遠出をしたときに見つけたんだ、きっと。

 

夜中に、もしかしたら薬罐が飛んでいるかもしれない、なんて想像したら、ちょっと心楽しいね。

眠れない夜には、この薬罐くんと一緒に町や畑や…の上を飛んでみてもいいのかもしれない。

あったかい気持ちになって、あれやこれやが気になる自分に「うん、よくやってるよ、私」と声かけして。

そんなふうに自分を認めてあげて、眠るときぐらい、いろんな「荷物」を降ろして、休みましょう。ね?

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