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平木典子先生の講座ーカウンセラーのためのアサーション(1)

2019/11/24
平木典子先生の講座ーカウンセラーのためのアサーション(1)
確か…1994年、だったと思う。
広島の、女性のためのカウンセリングを行なっている「えなカウンセリングルーム」。
女性の臨床心理士2人だったか…3人だったか…で運営されていた。

広島に行って、1年も経たないうちに息苦しさを覚えていた私は、そこでカウンセリングを受けた。
多分…その関係からか、そこが主催する「アサーション・トレーニング」に参加した。
(後日、グループワークを行う際の「ファシリテーター育成講座」も、受けたように思う。)
それが、アサーションとの最初の出会いだった。

えなカウンセリングルームのスタッフが、多分…日精研(日本精神医療研究所、だったか…)の平木典子先生の講座を受けての、講座開設だったと思う。
資料は日精研、と入っていた気がするので。

私は…親から、職場から受ける、女であるがゆえの理不尽さに、息が詰まりそうだった。

なぜ、私は、私のことなのに、自分で決めてはいけない?

33歳。リカレント教育で、大学院に行った年。

平木典子先生。私はその時「日本にアサーションを紹介した第一人者」として、その名を記憶したように思う。
今回の講師紹介の中で、日本人向けのアサーション・トレーニングプログラムを開発し、それを初めて実施されたのは1982年だった、と知った。

初めてお会いした平木典子先生は、小柄で、背筋がシャンとした方だった。

よどみなく話される、その言葉は、本の活字を追っているかのような時もあって、途中からのメモは取りにくかった。

…一連の説明は、ポイントのみを拾う、という訳にはいかず。

それは、無駄のない、ひとまとまりの言説だったから。

 

2日間の講座プログラムは次の通り。

 

▽ 自分のアサーションを考える

① 自己理解と今後の課題の検討

② カウンセラーが共通に持つアサーションの課題の検討

 

▽ クライエントのアサーションの支援

① カウンセリングの中で出会うアサーションの問題の共有

② その中でアサーションという視点からどう支援するか

 

まずは、「アサーション」の復習から。

▽ アサーション・トレーニングの復習ー背景
  1 行動療法・論理療法(→後に「認知療法」と呼ばれる)・人間性心理学・社会構成主義の視点の貢献
  2 人権としてのアサーションー人権回復運動…1980年代
  3 認知(ものの見方)とアサーション
  4 セラピストにとってのアサーション・トレーニングー21世紀に向けて

平木先生の説明は次の通り。

「人間性心理学」とはヒューマニティック・サイコロジーの訳語で、カール・ロジャースに代表されるもの。
「社会構成主義」とは、「ものの見方、考え方、価値観は、社会が作っていく」ことを中心に、物事を見ていこうとする考え方。
それぞれの風土、歴史の中で生きてきたものを、外からの目で「変だ」「おかしい」ということ自体、変ではないか、という視点が生まれてきた、と。つまりは、社会的に「人はひとりひとり違っている」が認められるようになった、ということ。


以下、平木先生の説明の言葉を拾っていきます。

○「認知療法」と「アサーション」の大きな違いは、「認知療法」は「その考え方をしていると、苦しい思いをしている人がいるなら、変える?」というもの。それに対して「アサーション」は「変えたかったら、変える?」。変えてみたいと思うかどうか、までをサポートする。

○アサーションは、相手にNoを言わせない、ためのものではない。(企業研修などでは、そういう風な勘違いする人が多い。)
アサーションは、「よく分かりました」の後、「私も賛成です」と「私は違う意見です」の両方有り。

○「one step down」一段降りる、ということ。これは、平木先生が好意を持たれているあるカナダの家族療法家の言葉。白人で、男で、医者である、ということに、「差がある位置にいる」「優位な位置にいる」ことを自覚して、自分の振舞いを考えられているとのこと。「相手がどう思っているか」を考える必要性。

○アサーションとは、自他尊重の自己表現。「話す」と「聴く」の統合。(辞書的は意味は「主張」「断言」)

○自己表現の4つのタイプ
  ・アサーティブ(assertive)…自分も相手も大切にする《I’m OK,You are OK.》
  ・非主張的(non−assertive)…自分を抑えて、相手を立てる 《I’m  not OK,You are OK.》
  ・攻撃的(aggressive)…自分を優先し、相手を抑える。《I’m OK,You are  not OK.》
  ・非主張的攻撃(passive−aggressive)…一見自分を抑えているかのようで、実は相手を抑えている。
    《I’m  not  OK,You are not  OK.》今回追加

「非主張的攻撃」は、これまで「アサーション・トレーニング」の中では取り上げてこなかった。なぜなら、それはカウンセリングで扱う領域だから。今回はカウンセラーのための講座なので取り上げます、と言われました。

「非主張的攻撃の特徴と結果」の説明が面白くて。
「自他尊重でない」から、「私は取るに足らない…無視してくださって結構です」となり、同時に「あなたも取るに足らない…無視します」となる。
例として、大学生に卒論の指導をされるときに、参考文献を紹介した場合のことが出されました。
2週間後、読んだかどうかを尋ねると「まだです」という。それが、何回も続くと、指導が無視されているように感じる…。
「はい。」と応じるのだけれど、従わない、場合。

○あらためてアサーションとは
  ・葛藤を起こさないことではなく、葛藤があるときは、互いに理解し合い、歩み寄りの可能性を探ること。
  ・Noを恐れないやりとりー人は違ってあたりまえ
  ・聞くこと・理解すること≠同意する
  ・相手と状況に合ったコミュニケーション(役割・地位・年齢・性など文化的な違いを心得る)


参加者各自の自己紹介の後、お昼休憩となりました。
自己紹介の時間が設けられたのは、次のグループワークでのメンバー決めの為もあって。
私は<教育関係>のグループに入って、「演習1  自分のアサーションを確かめる」に取り掛かった。

グループでの話し合いの際に、面白いなあと思ったのは、「同じ領域で仕事をしていて、同じ苦労、同じ課題があるか」という視点と「領域の問題ではなく、自分の問題として見えてきたものがあるか」という2つの視点が示されたこと。
共通の課題は、共に解決していけばいいし、個別の課題は、今後自分が意識して取り組んでいけばいい。
ああ、こんな風に、人と人とを繋いでいかれるのだ、と思った。
 
○ものの見方とアサーション(カウンセラーの心得として)
  ① 人は人の中に生まれ、人の中で成長する。
  ②その過程で、各自は独自の見方・感じ方を学び、身につけていく。(社会構成主義)
  ③ ものの見方は、万人に共通するものではないー真理とは1つではない
  ④ ものの見方は変えることができる(変えなければならないわけではない)

○人権・ものの見方とアサーション
  ⚪自己表現の権利:思ったことを伝えてよい→伝えないとわからない
  ⚪他者と違う権利:“No”があってよい→人はみな違っている
  ⚪ヒューマンエラーの権利:失敗をする人間→失敗をし、それに責任を持ってよい。(ヒューマンエラーの償いは義務ではない)
  ⚪真実の個別性ーものの見方の相対性

「ヒューマンエラー」の権利が、分かりにくいでしょうね、と説明を加えられました。
たとえば、交通事故を起こしてしまって、人の命を奪った場合、どうにも償いようがない。
その場合、できるだけのことをするしかない。

その後、こんなことを白板に書かれました。

「bioーpsychoーsocialーspiritual」生物ー心理ー社会ー(       )
spiritualに相応しい訳語が見つからないのだけれど、まあ、言うならば、「人間はつくづく不完全なよなあ、と思うこと」と。

私は、質問しました。
「…それは、『裁き』ではなく、『許し』なのでしょうか?」
先生は、そうだ、とおっしゃいました。ただ、人の「許し」ではなく、神の「赦し」に近いもの、と。
…何か、私は、涙が出そうになりました。

画像は行きの新幹線の中で撮った富士山。
どっしりと、変わらずそこにある存在に近づきたいと思います。

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