2021年ファシリテーター集会。2日目の午前中は、ブラジルのファシリテーター、パトリシア・ヤノさんの講義。
パトリシア・ヤノさん。お名前からもわかるように日系ハーフ。お母さんが日本人なのだそうな。
名古屋市立大学院に留学経験あり。日本語を話されるので、通訳なし。
(調べてみると、名古屋市立大学研究紀要に論文があって、タイトルは「トランスナショナルな移住を経験している家族 : 日系ブラジル人家族の現在状況」。)
現在は、ブラジルの大学でゲシュタルトを教えておられる。
今日のContentsとして、4つが提示された。
1 ブラジルのパンデミックの今の状況
2 ブラジルでのゲシュタルトの歴史
3 現在のブラジル・ゲシュタルトのバックボーン
4 ゲシュタルトセラピストになるための道
1 ブラジルのパンデミックの今の状況
既に報道されているように、ブラジルでのコロナ感染はアメリカに次いでひどい状況。
しかしそういう全般の話ではなく、パトリシアさんは「ゲシュタルトセラピストに与えた影響」に絞って話をされた。
① オンラインカウンセリングという方法→以前からあったけれど、ほぼオンラインのみとなった。
② 学会開催の状況…昨年10月に予定していた、2年に一度の学会は、今年の6月に延期。しかしこれもまだ開催できるかどうか不明。テーマは「環境、共生と持続可能性」。
2 ブラジルでのゲシュタルトの歴史
(1951年、アメリカでゲシュタルトセラピーは始まる)
・1〜2年のゲシュタルト・トレーニングを受けたブラジル人は2019年現在、約5,000人。
・ブラジルにゲシュタルトセラピーを持ち込んだ人はTHERESE AMELIN TELLEGEN(1927ー1988)。彼女の書いた「ゲシュタルトの様相」という論文(1972年)が当時のブラジルのサイコセラピストの中で広がった。
3 現在のブラジル・ゲシュタルトのバックボーン
▽3つのゲシュタルトモデル(ジュリアノ・1992)
① Gestalt of the head (ゲシュタルトの頭部)
② Visceral Gastalt (内臓ゲシュタルト)
③ Gestalt of the heart (ゲシュタルトの心臓部)
▽4つのゲシュタルト(Holanda 2005)
a)Gestaltーanalyticat
b)Gestaltーpragmatice
c)Gestaltーphenomenological (現象学的)
d)Gestaltーexistential (実存的)
▽Political(ポリティカル)(2016、2017、2019)
▽日本の禅仏教、中国の道(タオ)に影響を受けている。
▽Jorge Ponciano Ribeiro(87years old)…Brasilia University First President of ABG ブラジル・ゲシュタルト学会初代会長
▽「哲学」が大事…ヒューマニズム・現象学・実存主義 (Ribeiro 2012)
▽レズニック(Resnick 2016)…field theory phenomonology and dailogue(dialogicity)
パトリシアさんの言葉を書き留めておきます。
☆ ゲシュタルトは科学とつながる必要はないが、経験的統合は必要。ゲシュタルトは哲学と繋がっている。
☆ ゲシュタルトセラピーは、あり方、芸術、人生観であると考えている。「人生の哲学」。
☆ まとめると、ニューヨーク・クリーブランド・カリフォルニアからの影響を受けている。
☆ ブラジルのゲシュタルト学会は2016年から。ゲシュタルトセラピー(大学を出て訓練を受けた人)と、ゲシュタルトアプローチ(心理学を中心としていない人)から成る。
<出された質問と回答>
1 日本の禅と中国の道(タオ)に影響を受けていることへの関心は、どのような形で見られますか
→・(タオについての説明はできないのですが)禅仏教については最も興味を持たれていて、それは禅仏教を哲学として、生き方として見ているから。「今ーここ」の生き方として。
・シンプルな生き方ー「今、ここ」で感じていることが大事。
・「もの」を分析(=良い悪いとジャッジする)するのではなく「もの」を感じる。それは「現象学」の、ものを判断するのではなく経験を受け入れることに通じる
2 ブラジルの学会としてセラピストとしての資格制度はあるのか? 特にゲシュタルトアプローチについて
→1年半〜3年の訓練期間を経て、研究所ごとに資格認定する。その研究所の推薦で学会に入れる。
3 セラピーを超えて、政治・社会的なことにも目を向ける流れがあるとのことでしたが、具体的にどのような形で活用されていますか?
→ダイバーシティーによるグループを開くような形。カンファレンスを行ったり。本も増えている。
4 LGBTQのほか、刑務所経験者のグループはありませんか?
→ソーシャルアシスタンス(社会復帰支援)あり
LGBTは知っていましたが、LGBTQは初めてで。
調べてみました。
・L(レズビアン)……性自認が女性の同性愛者
・G(ゲイ)……性自認が男性の同性愛者
・B(バイセクシュアル)……男性・女性の両方を愛することができる人
・T(トランスジェンダー)……主に身体的な性別と性自認が一致しない人
これら4つは、どれも「男性・女性」という2つの性別に基づいていて、「自分は男女どちらでもない」「自分は誰も愛することができない」といった、「LGBT」にあてはまらない人はどうなるのか、という現実に即して、「LGBTQ」「LGBTQIA+」が加えられた、流れのようです。
・Q(クエスチョニング)……自分の性別がわからない・意図的に決めていない・決まっていない人
・I(インターセックス)……一般的に定められた「男性」「女性」どちらとも断言できない身体構造を持つ人
・A(アセクシュアル)……誰に対しても恋愛感情や性的欲求を抱かない人
これらに加えて、名前のついていない性やそれ以外の性を表す「+(プラス)」が追加された結果、「LGBTQ(+)」「LGBTQIA(+)」のような単語が使われるようになった、らしいです。
4 ゲシュタルトセラピストになるための道
引き続き、書き留めたパトリシアさんの言葉を挙げていきます。
☆ 心理学の大学は卒業までに5年かかる。4年になると好みのアプローチを選び、スーパーバイズを受ける。
☆ 「現象学」の中に「ゲシュタルトセラピー」という科目がある。
☆ ゲシュタルトセラピーの研究所は全国で50以上存在する(2年前の調査)。300〜480時間のトレーニングを課す(時間を基礎としてカウント)。卒業論文を必要とする研究所とそうでない研究所がある。
☆ カリキュラムとしては、
① 理論を学ぶ(哲学・現象学等)
② ワークショップを練習する
③ スーパーバイザーの指導を受けてカウンセリングを行う
④ パーソナルなカウンセリングを受ける
この4つを統合する。
最後に。全員で2020年を振り返るワークをしました。
1 2020年をどのように終えたか。イメージしてください
2 そのイメージにタイトルをつけてください
3 2020年、どんな期待、どんなプロジェクトをしていたのか
4 何が起きたのか
5 最も大きなチャレンジは何でしたか?
6 最高な経験となったこと
7 「サポートシステム」は2つあって、「自分自身の中にある強み」と「周りにいる人間関係からくるサポート」。そのどちらを使ったのか。
8 私は何を学んだのか
9 今年(2021)に望んでいること
10 そのために何をするつもり? 何を予定している?
11 ここまでの歩き方を感じて、あなたのスーパーパワーを書いてください
私は、次のように書きました。
1 うららかな日差しの中、大きな木の下、木陰で居眠りをしている。次の動きを夢見ている。
2 「なまけものになった私」
3 事務所付きの家を建てる
4 仕事がなくなって、新しいプロジェクトどころではなくなってストップした
5 YouTube配信を始めたこと
6 「私は大丈夫」であると思えたこと。
7 両方。自分の身体が動かない時には、そのままで待つ。友人の助けもありがたかった。
8 私は大丈夫であるし、支えてくれる人もいる。私は守られている。
9 2020年に予定していた、カウンセリングルーム&レンタルスペース付きの自宅を建てる! 人が集う場所を創り、そこから始める。
10 計画を立て、資金調達のために動く。すでにもう動いた。
11 好奇心と行動力
2021年が、いい年となりますように。
画像は、たった今撮った、部屋にあるアレンジメントのお花。
まだ暗くて、フラッシュなしにしたら、ちょっと手振れを起こしてしまった。
でも、「今ーここ」を味わう。
…あ、今日はアンジーのお誕生日! 7歳、おめでとう❣️