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吉良安之氏 講演会「セラピストが感じることを心理臨床に活かす」2023年10月30日

2023/11/01
吉良安之氏 講演会「セラピストが感じることを心理臨床に活かす」2023年10月30日
なんとも魅力的なタイトル! と思いました。初めて目にした時。
確か。関西大学・池見陽先生の「X」で流れてきた情報で。

ロジャーズの「傾聴」は、ただひたすらクライエントの話を聴く、というのではなく。
セラピストの「自己一致」のためには、話を聞いていて生じる自分の中の「感覚」に正直であるべきで。
しかし、セラピストが正直であることとカウンセリングが成立することとは、必ずしもイコールで結びつく、とも思えず。
その辺りをどう捉えていくのか、ということに真正面から向き合うテーマだ、と思って。
随分前から、その日はチェックして空けていました。

その後に申し込んだ「フォーカシングin甲子園2023」。
最初の講座が龍谷大学の内田利広先生で。
「フォーカシング思考療法の基礎」というタイトルで、「フォーカシングの臨床場面における実践をどのように行うかを、事例をもとに解説します」という内容説明があって。
それが10月28日のこと。


うん。内田先生のご講義も面白かったんだけど、ね。
フォーカシング用語を使わないで、今、感じていることをクライエントに表現してもらう、という形で、さりげなくカウンセリングの場でフォーカシングを導入する、やり方で。
まあ、あくまで「無理のない」範囲で。

その時も。私はどんなふうにしてるかなあと振り返って。
クライエントさんの感情が激した時、だけでなく、ひととおり話し終えて、ちょっと一息つかれた時などに。
「今、ご自分の身体は、どんな感じですか?」とか、聞いてみたり。
「今のご自分の内側は、どんなふうですか?」とか、聞いてみたり。
ちょっと自分の内面の状態に目を向けることを促す言葉を掛ける。

すっきりした、とか、なんか風が通った感じ、とか。
塊みたいなものを感じる、とか、あ、また怒りが湧いてきた! とか。

「あ、じゃあ、それまでは、どんなふうに感じていらっしゃったのですか?」
と問うと、
「重苦しかったんですよね」とか、「あ、自分で気づいてなかったんだけど、だいぶ重荷だったんだ!」とか。
「自分では気づいてなかった、んですよね、こんなに腹を立ててたんだって」とか。
「あ、そんなことも気づかなかった。。」と溢れる感情に涙されることも多々あります。

…そんなことを思い出していた。
それはフォーカシング、なのか、ゲシュタルトなのか、自分では別に明確に区別をしていなかった、けど。
でも、その「感情」や「状態」に明確に言葉を与えた瞬間、私はフォーカシングだと思っている。
…だって、フォーカシングは。あんなにも「ピッタリくる言葉かどうか」を吟味するんだもの。
感情が動くに従って「ピッタリの言葉」も動いていく、ことを認め、その行方を丁寧に探るんだもの。

そういう丁寧さが私は好きだなあ、と思う。

それで。30日のご講義は、大学で心理の理論を学んだ人が、「頭でっかちに」、カテゴリーでクライエントの言うことを見ていく、ことの危険性の話から始まり。
けれど、「知識」を否定するのではなく(大学人が知識を否定したら、そもそも、大学教育が成り立たない、ものね。。)、「『感じること』と『考えること』との仲のよい繋がりを保ちたい」とのことで。
非常に無理なく頷けた、のでした。

セラピストが体感で感じることとは? の説明に、事例を示した後、「体感で感じることで、その人(=クライエント)についての理解が深まる」ことや「体感で感じながら話を聴くことが、その人に対する心理的な支えになることがある」ことを提示された。

そしてこの講義の中心的テーマは、たぶん、「感じることと概念との対話」。

<スライドでの説明>
・セッション後に考える際には、ある概念と面接中に体感したことを対等に扱い、両者をクロス(交差)させることが大切。
・ある概念とは心理臨床界の多くの先人たちが経験し議論してきたことを記号化したものだと言いたい。私たちの使う用語や概念は顕微鏡や天体望遠鏡では見えない構成概念。その記号と自分が体感していることとを、私の内側で対話させる。
・例えば「共感」と言う概念。せっかくそれを学んでも、「クライエントに対する私の態度は共感的だろうか」「私は共感できているのだろうか」というと捉え方をしたのではつまらない。それだと「共感」という概念に「私の態度」を合わせよう。近づけようとしているだけ。


その項目のスライドに出てきた「構成概念」という言葉の意味について、私はもう少し明確にしたくて質問した。
そのお答えが以下のとおり。

「構成概念」とは、取り決めで「このように見ることにしようと決めたもの」。
ある視点から見て、「こういうふうに見てはどうだろうか?」とするもの。
実体(実態、ではない、と思うんだけど)として誰が見てもそう見えるかどうかはわからない。
お互いの間の取り決めであって、立場が違えば別の視点になってしまう。

こんなふうにお答えくださった、ようにメモしているのだけれど。


それから、池見先生が質問された「記号化」についての補足説明。
元々は体感で捉えられたものだが、その考えを一般化する過程で次第に実感から離れ、抽象化されたもの。


さらに池見先生は「クロス(交差)」の意味を確認されて。それは「ブレンド」ではない、ですよね? と。
…そうよね。「混ぜ合わせる」のではなく。混ぜ合わせて一色にする、のではなく。
それぞれがそれぞれの独自性を保ちつつ、相互に受ける影響、与える影響で、何が生まれるか、を見ていく、という意味、ですよね?


それから。最後のポジの補足説明として。
理想状態としての「共感」というものを想定して、それに自分の態度を近づけようとしていると、自分の感じている実感(体感)を軽視してしまう恐れがある。

まあ、つまりは。自分の感じることと「概念」とをフォーカシングしていく、ということですね!
という理解を私はして。そんなふうにお伝えしたのだけれど。

それにしても。
何より私が考えるヒントになったのは、事例とともに説明くださった、もうひとつのこと。
体感で感じつつ話を聴きながらセラピストに浮かんだ連想を伝えると、クライエンに新しい気づきが生まれた。こちらの体感がクライエントの思いを少し先取り。

そうなんです!
私がクライエントさんのお話を聴きながら。感じたことを伝えたときに。
「そうなんです!」と叫ばれることも多々あり。
あるいは、ノートにその言葉を書き留める方も多くいて。
嬉しくもあるけど、私、もしかして「誘導」してる?という気もして。
自分の中でどう整理したらいいのか、わからなかった。

でも! そうか。。私はクライエントさんの思いを少し「先取り」してただけなんだ!
とちょっと安心しました。

ホント、フォーカシングは面白い。いろいろ考えさせられる、ものです。

画像は、会場となった「尚文館」ではなく、その入り口から来た道を振り返ったもの。
…まあ、「振り返り」も時には必要、ね。

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