大阪・奈良 生駒駅徒歩6分の心理カウンセリングルーム
オンラインでも受けられます
教員歴31年の独自メソッドで、超短期で不登校、夫婦関係、親子関係、職場の人間関係などの悩みを解決
全く効果がなければ返金保証いたします
生駒市元町2-4-20
  1. コラム
  2. 沙羅 Sara の「ほっと一息」コラム
  3. 新川和江の詩
  4. 歳を重ねる「ご褒美」〜新川和江の詩「ひとに手紙を……」〜
 

歳を重ねる「ご褒美」〜新川和江の詩「ひとに手紙を……」〜

2017/06/08
歳を重ねる「ご褒美」〜新川和江の詩「ひとに手紙を……」〜
人に自分の気持ちを伝えるのは、なかなか難しいものです。
すんなりとうまくいくこともありますが、ん…ちょっと、微妙に伝わってないな…と思うこと、あります。
その、「伝わってない」と思った時に、あなたはどのような行動を取りますか?

…と言われても、一概にこう、と言えませんよね。
だって、そもそも「自分の気持ち」がはっきりしていて伝えやすいものである時と、「自分の気持ち」がはっきりしてないうえに、微細な感覚だったりしたら…。
そして、相手がそういった微細なものを受け取るセンサーがある人だったらいいけど、そうでない場合は、「まあ、無理かもね」と早々に諦めてしまうかもしれないので。

今回は新川和江の「ひとに手紙を……」と言いさしたタイトルの詩を。
「読書への誘い」第48号で紹介した詩です。

   「ひとに手紙を……」     新川和江

 

 ひとに手紙を書こうとして

 書きなずんでいると

 

 灯を慕ってか クサカゲロウがはいってきて

 白いびんせんの上に とまる

 

 うつくしい哀しみのような

 みどり色の そのうすい翅(はね)

 

 ああ わたしが告げたい思いも

 そのようなもの なのだけど

 

 クサカゲロウは文字にはなってくれず

 いよいよ翅を透きとおらせて ふるわせて……

 

 小さないのちと 大きないのちが

 ひっそりと息づいている 晩夏(おそなつ)の夜

      (詩集『夢のうちそと』1979年刊)

 

「クサカゲロウ」って、どんな虫なの? と思って、ネットで調べてみました。

ホント、薄い、透き通ったような緑色の翅が綺麗ですね。

成虫は、触れると胸の前部から臭気を出すので、「臭いカゲロウ」→「クサカゲロウ」となったそうな。ふう〜ん。

 

このようなモノにたとえられた「私の思い」も、とても微細なものですね。

「クサカゲロウは文字にはなってくれず」って、そりゃあ無理でしょ、と言いたいところですが、それくらい切羽詰まって、なんとかならないかしら…と思っているのですね、「書きなずん」でいる「わたし」は。

 

…なんで、クサカゲロウに「わたし」の気持ちを伝える文字になってもらいたいか?

それは、そのくらい繊細な姿の持ち主なら、繊細な「わたし」の気持ちをうまく言葉にしてくれそうだ、という期待からでしょう。…そんな、うまくいくものかどうかわからなくても。

 

「小さないのち」のクサカゲロウと、「大きないのち」の「わたし」と。

自分の気持ちを言葉にしたくて、できないでいる「わたし」と、「翅を透きとおらせて ふるわせて」いるクサカゲロウと。

 

この瞬間、世界はこの2つの命で覆い尽くされているのですね、…他には何も存在しないかのように、「ひっそりと息づいている 晩夏の夜」。

 

クサカゲロウは、この瞬間は生きてますけど、成虫となってからの寿命は3ヶ月だそうで、「晩夏」ということは、もうそろそろこのクサカゲロウの寿命も尽きる頃かもしれない。

一瞬の邂逅。

 

後には、きっと「書きなずん」でいた「わたし」が取り残されるのでしょうけれど。

でも、この瞬間は、一緒にいる。

 

そう、淋しがらなくてもいいのよ。

昔は…誰かといて楽しければ楽しいほど、それが思い出に変わるのが怖かった。

ひとり淋しく思い出すのか、と思うと、もう切なくて、苦しくて。

 

どのみち、ひとりなわけで。

私は私の中に帰ってくればいいだけで。

それがわかってから無用に淋しがらなくなりました。

…まあ、半世紀も生きれば、ね。そういう「ご褒美」もあるのです。

歳を重ねることで「若さ」を失うけど、そういった「安らぎ」も得られます。…いいものです。本当に。

 

20代のYさん。昨夜は眠れましたか?

今、苦しいでしょうけれど、でも、「こころ穏やか」に過ごせる日がきます。大丈夫。大丈夫。

 

画像は、朝の杏樹(アンジー)との散歩で見つけた、ご近所の素敵な門扉。

樹の枝に梟がとまっていて、扉の上には、小鳥たちがとまっています。

カウンセリングルーム 沙羅Sara

あなたはあなたのままで大丈夫。ひとりで悩みを抱え込まないで。

明けない夜はありません。

電話番号:090-7594-0428

所在地 : 生駒市元町2-4-20 

営業時間:10:00〜19:00

定休日 :不定休

ルーム案内・アクセスはこちら