カウンセリングルームという場所〜『かいじゅうたちのいるところ』モーリス・センダック作〜
2017/09/03

“あるばん、マックスは おおかみの ぬいぐるみを きると、いたずらを はじめて おおあばれ…
おかあさんは おこった。「この かいじゅう!」
マックスもまけずに、「おまえを たべちゃうぞ!」
とうとう、マックスは ゆうごはんぬきで、しんしつに ほうりこまれた。”
という経緯(いきさつ)で。
すると寝室に「にょきりにょきりと木が生えだして、」どんどん生えて、ジャングルになってしまいます。
おまけに「なみが ざぶり ざぶりと うちよせて、マックスのふねを はこんできた。」
船に乗って航海したマックスは、1年と1日経って、怪獣たちのいるところに辿り着きます。
怪獣たちはすごい声で吠えて、歯を鳴らしたり目玉をぎょろぎょろさせたり、…って大変なんだけど、どういうわけか、マックスは「怪獣慣らしの魔法」なんかが使えちゃったりして…。
それで、怪獣たちは「マックスを かいじゅうたちの おうさまに した」。
それから大騒ぎが始まるんですが、ひととおり楽しむとマックスは、夕ご飯抜きで怪獣たちを眠らせます。
…と、「すると、どうだろう、マックスは おうさまなのに さびしくなって、やさしい だれかさんのとことへ かえりたくなった。」
おまけに「そのとき、とおい とおい せかいの むこうから、やさしい においが、 ながれてきた。」
それで、マックスは王様をやめて、怪獣たちを置いて、帰ることにします。
「いつのまにやら、おかあさんに ほうりこまれた じぶんの しんしつ。ちゃんと ゆうごはんが おいてあって、まだ ほかほかと あたたかかった。」
で終わります。
いわゆるインナートリップ、なんですね。心の旅。
大暴れした自分が悪いんだけど、でも、そうとは素直に認められない。
で、出掛けていくわけです、大暴れしてもいい場所に。
気持ち的にはできるだけ遠くに行けたほうがいいので、1年と1日かけて航海する。
で、その世界では自分は万能。なんでもできちゃう。
一番偉い王様だし。
散々楽しんだあとは、…勝手なことに、怪獣たちに「罰」を与えます。それも、自分がされたと同じことを!
お腹が空いてきたことにも気がついて。それは、「におい」で、なんですね。
全部全部放ったらかして、一目散にお家へ向かうところなど、小さい子が夕方、急いでお家に帰るのとどこか似てますね。
で、気づいたら、自分の部屋に戻っていて…、用意されていた夕ご飯。
「かいじゅうたちのいるところ」で気持ちを発散させたあとは、穏やかに「日常」に戻るわけです。
…いやあ、うまい具合に「カウンセリング」になっているなあと思います。
感情は、どんなものでも「押さえ込まない」。
どんどん出す。それも「出してもいい場所」で。
そうしたら冷静になれて、次の展開がある、のです。
カウンセリングルームは、そういう「負の感情」を出していい場所、です。
あなたはあなたのままで大丈夫。ひとりで悩みを抱え込まないで。