宇多田ヒカルのニューアルバム「初恋」を聴いていて、
なんとなく思い出したことがあって、
今朝はそれを綴ろうと思います。
その人の名前は「かわにし じゅんじ」といった。
小学校1年生で同じクラスで。
私は密かに「じゅんくん」と呼んでいた。
じゅんくんはクラスの人気者で。
顔立ちも、「小さな恋の物語」のマーク・レスター張りで。
引っ込み思案な私にまで声を掛けてくれていた。
そのじゅんくんが3学期で転校した。
年賀状が、最後だった。
私は時々、遠くに行ってしまったじゅんくんのことを思い出していた。
…多分、2,3年は。
そのじゅんくんと高校1年で再会した。
高校1年の3学期。
よそのクラスの生徒が私のクラスにいた。
私を見るなり「覚えてる?」と聞いてきた。
私は、記憶を辿ってみたが、覚えがなかった。
「俺、かわにしじゅんじ。…覚えてない?」
「…え!? 覚えてるよ」
「おまえ、すぐ分かった。全然変わってないもんなあ!」
馴れ馴れしい口調に戸惑った。
マーク・レスターに似ていたじゅんくんは、
顔が長くなって、全くマーク・レスターではなくなっていた。
どきまぎして、上手く反応できない私は、
再会を喜ぶ言葉を発することもなく、
そのまま固まってしまった。
じゅんくんは、何か言いたげだったけど、
そのまま教室を出て行った。
…遠くへ引っ越していったはずだった。
当時は全校生徒の「住所録」が配布されていて、
見ると、「隣町」だったことがわかった。
まあ、小学1年生には、「遠く」だったかもしれない。
…あれが「初恋」だったかな?
とあとで思い出すこともあったけど、
それから彼とは何事もなく、高校3年間を終え、卒業した。
高校1年の時の古典の岡本つる代先生に、
旧字体の「戀」は、
「糸(愛)しい、糸しいと言う心」と教わった。
なるほど!と思った記憶がある。
まあ、少なくとも3年間ぐらいは
彼は私の「王子さま」だった。
本当はマーク・レスター張りでなかったかもしれない。
想像の中で、そんな風に変形したのかも。
でも、「韓ドラ」みたいには進展しなかった。
そんなものかもしれない。
そうすると、出会っては別れ…していく中で、
一定期間でも、自分の心の中に住み着くというのは、
貴重なことなのかなと思えてくる。
最近は、そんな風に感じることはなくなってしまったので、
ちょっと、淋しいかもしれない。
…まあ、心が安定はしますけど。
画像は、この前生駒山中腹の公園で撮ったアンジー。
遠くを見ていて、なんか、哲学的。
最近は、この「男の子」にかまけています。