12月6日付の「折々のことば」。坪内捻典さんの句。
たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ
鷲田清一の解説。
「ぽぽのあたり」ってどのあたり? 後頭部とかお尻のあたり? 自分の体なのに自分では見えないところで何かよろしくないことが起こっている? いずれにしても、こんなふうに微笑(ほほえ)みながら心配してくれる人がいるのはうれしい。句集『ぽぽのあたり』から。続編として「たんぽぽのぽぽのその後は知りません」という句も。ちなみに「ポポ」はドイツの俗語ではお尻のこと。
ふうん。蒲公英(たんぽぽ)のぽぽ、ね。
昔、大学の授業で、国語学の先生から、「ぽぽ」という音は元来日本語にはなかった、と聞いたような。
万葉の時代には、ハ行の音は、今のように上下の唇が開いたまま発音するのでなく、
「ふあ、ふい、ふ、ふえ、ふお」と、閉じた唇から、発音していた。
これを「両唇摩擦音(りょうしんまさつおん)」というのだけれど。
そういうことがなぜ言えるか、というと、
「母には二度会ひて、父には一度も会わず」という古代の「なぞなぞ」があって、
その答えが「唇」なので。
どういうことかというと、母は「ふあ、ふあ」と、二度唇を合わす。
父は、両唇開いたままなので、一度も唇は合わない。
…この「なぞなぞ」は、いつ聞いた話?
高校の古典の授業、かもしれない。
その、両唇摩擦音から、開いたままの「はひふへほ」に変わり、
けれど、どうやっても、「ぱぴぷぺぽ」の破裂音は出てこない。
これは、元来の日本語の音ではなかったのではないか…というような説明だったように思う。
…まあ、どうでもいいことなんだけど、つい、「ぽぽ」に反応してしまった…。
その「ぽぽ」が大変なんだ!
え? 火事だって?
で、「ぽぽ」のあたりってどのあたり?
大騒ぎした挙句、「ぽぽ」はドイツ俗語の「お尻」だってオチもついて。
うふふ。
そうよ、ね。
たんぽぽ、って何か…「ぽぽ」で終わる音が可愛い感じ。
そこに「反応」したね! 坪内くん。
なんでしょう…言葉って、口にして、何かいい感じ、とか、可愛い感じ、とか
そんな風に、口の中でころがして味わうような…。
そうね。
今度、春になって蒲公英にあったら、声をかけてみよう。
「ぽぽのあたりが火事ですよ」。
蒲公英の奴、どんな反応するかなあ。
画像は2012年5月5日に撮ったもの。
たんぽぽの写真なんてあるかなあ…と思っていたら、ありました。
…なんでも、撮ってるのね、私。