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フォーカシングはセラピストがすることではない〜池見陽さんの講義〜

2020/01/27
フォーカシングはセラピストがすることではない〜池見陽さんの講義〜
昨日のKSCC統合的心理療法セミナーでの池見陽さんの講義。
のっけから、刺激的な表題で。

「フォーカシング」と名付けられた体験の過程(意識のあり方)は、カウンセリングで成功するクライエントの特徴が記述されたもの、であるから、
フォーカシングはクライエントのすること。
そのような特徴を示していないクライエントにそれを教えることはできる。
それは、「フォーカシング教示法」「フォーカシング・インストラクション」などと呼ばれる「フォーカシング指導法」で、それはセラピストがすること。

こんな風に、「クライエントがすること」と「セラピストがすること」を、池見さんが対比させるのは、
…多分、「カウンセラーに向けての言葉」を紡いだロジャーズと、「クライエントの体験」を追いかけたジェンドリンの在りようが「相補的」、と評したことの延長線上にある。

Eugene Gendlin Ph.D(1926ー2017)。
○哲学者ハイデガーのWhat is a Thingの英訳に携わり、ハイデガーと文通していたことで知られる。
 独自の現象学を発展させた。
○カール・ロジャーズにカウンセリングを学び、ロジャーズの後年の考えに大きな影響を与え、「パーソン・センタード・アプローチ」の共同創立者と評される。

これは、池見さんの、スライド資料から。

「本日、取り上げるのはクライエントに起こっているフォーカシングという体験(意識)の過程がどのようなものであるかを4つの次元で示す」とのこと。
フォーカシングの4つの次元、とは「体験過程」「追体験」「スペース」「からだ」。

以下、池見さんの言葉を拾っていきます。

○ 人の体験は「固定」できない。プロセスしながら、動いている。(「体験過程」について)
○ ロジャーズの繰り返しがうまくいくのは、「再帰性」がうまく、回っているから。
○ 「re-Experience」=再体験 ⇔ 「Re-Experience」=追体験 Reを大文字表記から始めて、区別している。
○ 「追体験」はドイツ語のNacherlebenに由来するが、英語にはいい訳語がないためにカール・ロジャーズを含め英語圏の学者は、ほとんどこれに注目していない。
○ 「追体験」は東洋圏で用いられているが、これは日本人による訳語、らしい。
○ 人は自分の体験を追体験している。ジェンドリン哲学の興味深い点は、いかなる体験過程も追体験であるという「再帰性」である。
○ これとは別に、人は他者の体験を追体験している。
○ 「追体験」は「連想」とは異なる。相手の体験を正確に分かろうとして、追体験する。
○ 気持ちを近くに置きすぎると、圧倒される。気持ちが遠すぎると、感じなくなる。どんな風にキョリを置いていくか。
○ ジェンドリン哲学の言葉。「本当のことは、話してみないとわからない」。
○ フォーカシングは「‘世界’内存在」。人という存在は、いつも世界に投げ出されている。(=普遍的な人格は、ない)
○ フォーカシングをすると、自分との関係性が変わる。そういう「関係性」が大事。
○ ジェンドリンの論文の中の言葉「本当のクライエントは、クライエントの中のフェルトセンス」。見たくない自分。しかし、そこにモヤモヤがある。徐々に、その「感じ」を見られるようになってくる。


質問の時間。
私の質問。「ロジャーズとジェンドリンは相補的、とおっしゃいましたが、ロジャーズの『共感』に対して、ジェンドリンはどのように相補的であるのか、教えてください。」

池見さんは、まずロジャーズの「共感」の定義の仕方自体が変化している、と。

1956年に出された「共感」に定義は「あたかも私があなたであるかのように」。
しかし、1975年の「共感」の定義は、「クライエントがフェルト・ミーニングにフォーカスする過程をサポートする」。
つまりプロセスに移行している、と。
しかし、「共感」の内容自体に変化があった訳ではなく、定義の、表現の仕方が変化しただけ、と。
それは、実際のロジャーズのカウンセリング場面での、クライエントとの「やり取り」を見ると分かる。
単にクライエントの言った言葉を「オウム返し」しているのではなく、きちんと、ロジャーズの捉えた言葉で返している。
それは、1956年当初から変わらない、と。
「共感」「傾聴」を「オウム返し」のような捉えをしたのは、日本人のロジャリアンの間違い。

1972、3年まで、ロジャーズは、「自己一致」だの「無条件の受容」だのとカウンセラーのすることを取り上げていた。
1975年ぐらいから、ロジャーズが弟子のジェンドリンに傾倒していく。カウンセラーの在り方、であるよりも、クライエントの中で起こることに焦点が移っていく。


休憩時間、全体の場で聞けなかったことを聞きました。
それは、つい2週間前にゲシュタルトのファシリテーター集会で召還されたカリフォルニアのレズニック博士の捉え、です。
ロジャーズはクライエントの方に行かなかった、と彼は言ったけれど、先生のお話を聞いていると、そうではないのですね、と。

ロジャーズもゲシュタルトも、同じ事をしているのだろう、と言われました。
…まあ、アメリカ人は、「人とは違う!」を言いたがるからね、とも。

レズニック博士がフリッツ・パールズと共にいたのは、1970年までの5年間ほど。1970年にフリッツは亡くなっているので。
ロジャーズの「共感」定義が明確に変化したのが1975年なのだったら、レズニック博士のロジャーズ理解は、先の1956年に引きずられているかもしれない…。


90分の短い時間の中で、アニクロ(アニマルクロッシング=自分の今のありようを動物にたとえてみると…)のペアワーク(25分間)も行いました。
体験を通してでしか知り得ないことを、きちんと伝える、という、なんとも興味深い講義でした。

3月の「サンガ 心の開花」にも、また参加します。

画像は、うちの杏樹(アンジー)の1月映像。「ドッグサロンそら」さんで。
フォーカシングの追体験の説明に、ゴールデン・リトリバーのわんちゃんが出てきましたが…どうやら、今はいない、ようなので。
…まあ、うちのアンジーでは代わりになりませんが。

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