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クライエントを「遊びに誘(いざな)う」スタイル〜コンテンポラリー・ゲシュタルト 対話セラピーを学ぶ - Dr.ナンシー・アメント-リヨン〜

2020/10/18
クライエントを「遊びに誘(いざな)う」スタイル〜コンテンポラリー・ゲシュタルト 対話セラピーを学ぶ - Dr.ナンシー・アメント-リヨン〜
昨日は、オンラインでのゲシュタルトの理論のレクチャーがあって。

ファシリテーターは、Dr.ナンシー・アメント-リヨン。


ニューヨーク州ニューヨーク生まれ、米国、スイス、オーストリアで心理学を学び、修士号と博士号を取得。19歳の時にフリッツ・パールズのワークショップに参加。

1978年以来、個人、カップル、グループに対してセラピーを行うとともに、ゲシュタルトセラピーとグループ精神分析のトレーニングを提供している。オーストリア、ウィーン在住。

オーストリアゲシュタルト療法協会(ÖVG)会長。オーストリア心理療法学会(ÖBVP)とヨーロッパゲシュタルト療法協会(EAGT)の会員。オーストリア国内外のセラピスト、グループ精神分析医、スーパーバイザー。

イタリアの国際ゲシュタルト療法および精神病理学研究所(www.ipsig.it)、および、チェコのトレーニングインスティテュートゲシュタルトストゥディア(www.gestaltstudia.cz)におけるトレーナー。

ゲシュタルト療法、ジェンダー、社会政治的関連の問題に関するトピックについての著作と多数の記事あり。

2003年に、アンソロジークリエイティブライセンス:ゲシュタルト療法のアートを共同編集。

2013年、デビュー小説である "Case Unclosable" を出版。

2016年、『Timeless Experience:Laura Perls’s Unpublished Notebooks and Literary Texts 1946-1985』を出版。

と案内には、略歴紹介。

そう。オーストリアと日本をズームで繋いでのオンライン・ワークショップ。

本当は昨日今日の二日間。二日目はワークショップのみ。
申し込みがちょっと遅れて、もう満席だった。
主催者が、レクチャーのみ人数を増やしてくれて。
それで参加できた。(ありがとうございます。)

さて。セクション1は90分。15分の休憩を挟んで、セクション2(90分)。
その後、1時間の食事休憩。オーストリアはお昼。日本は夜。(9時間の時差。)
それから、セクション3(60分)。

セクション1
ナンシーの師事したローラ・パールズの言葉を追いながら、ローラの大切にしたことを確認していったように思います。
(それが、今のコンテンポラリー・ゲシュタルトの流れになっている、ということかと思います。)

以下、ナンシーの言葉を拾っていきます。(私の聞き違え、聞き落としがあるかもしれません。ご指摘をお願いします。)
 
○ローラは独自のスタイルにフォーカスしていた。

○ファシリテーターは意味付けを探求するパートナーとなることができる。
○ローラは、多くの人がフリッツ・パールズの「型」を真似るだけで、その奥にある「何のためにそうするのか」を追求せずにいることを危惧していた。
○「慣れきった介入」は自然発生的でない。そうではなく、「オーダーメイド」の介入を。
○テクニック、型通りの取り組みは、創造的とは言えない。
○患者といて、行き詰まった時、「媒体」を変える。
○経時的な創造性は自己陶酔の解毒剤となる。
○セッションの終わりに、何がクライエントの助けになったか、或いは何が助けにならなかったかを聞くことは、マルティン・ブーバーの「我、汝の関係」上、大切なこと。→ハードな作業と小さなリスク
○あなた自身と患者が互いに「気取らない関係」になっていることが大切。
○基本的に私は患者を「遊びに誘(いざな)う」スタイルを取っている。
○ウィニコットの言葉「心理療法は、両者(治療者と患者)の遊びの領域が重なって成立する。」
○ローラは少なめのサポートを行っていた。そのサポートがあって、コンタクトが起こる。

質問の時間。
ある方からの質問。
「ナンシーの『遊びに誘う』スタイルは、ローラから学ばれたものですか?」

ナンシーの答え。
「ローラが大切にしたのは、実験。遊びは、私が独自に始めたもの。」

そうか…そうなんだ! とちょっと感動しました。
いくら尊敬する人であっても、「踏襲」するものではない、というナンシーの意気込みが感じられました。
ゲシュタルトのファシリテーターの在り方を確認する、いい質問だった、と思います。

私の質問。
「『増幅することを否定する』と言われましたが、増幅とは、私の受けてきたゲシュタルトのワークでは、ファシリテータが『もっと感じて』と働きかけることだった、と思うのですが、そうすると微細なものが見えなくなるから、でしょうか?」

ナンシーの答え。
「これまでのその人の『反応の仕方』によって、今の行き詰まり(impasse)が生じている。その背景もわからないのに、増幅させることは危険。それより、今の状態になった原因を探っていく。するとこれまで見落としていたものが見えてくる。」

クライエントの「慣れ親しんだ」方法が、今のインパスを生み出しているならば、そのインパスに至る流れをもう一度丁寧に辿ってみよう、ということのように思いました。
それが、「(ファシリテータの)サポートがあって(現実・自分との)コンタクトが起こる」ということか、と理解しました。




セクション2
フリード・ランナーという人やロビンという人の理論の紹介があったのですが、二人とも私には馴染みがなくて、ただただ「そうなのか」という受け止めしかできませんでした。

質問の時間。
まず、「middle mode」=「中間領域」ではないのでは? という質問があって。
どうも、話を聞いていると、「受動態でもあり脳動態でもある、いわば中動態」というファシリテータのあるべき「状態」を示す言葉のようで。
いわゆる私たちが受け取っている「内側の感情」でもなく「外界との接触で起こる感覚」でもない「(思考などの)中間領域」の意ではなさそうで。
もう少し、説明が欲しいところ、でしたが、どうも日本では紹介されていない部分のようで。

私の質問。
「『介入とは、不確かさや疑念を導入』し、それによって意味の再編成を行う、とのことですが、それは今に至るクライエントのナラティブ・ストーリーをもう一度見直す作業と理解していいのでしょうか?」

ナンシーの答え。
「クライエントの現状が、上手く機能していないから行き詰まりが起こっている。そのエネルギーの方向を変えることがセラピストができること。それが、クライエントのナラティブ・ストーリーを巻き戻す、行為。」

その後してくださった、ナンシーの喩え話が非常に分かりやすかった。
ラクダを17頭持っている人がいて、息子3人に譲ろうとしている。長男には半分を、次男には1/3を、三男には残りを。
17という数がそもそも半分や1/3にならない数。
通りかかった賢人が、1頭貸してやろうと言う。
すると、長男には18の半分の9頭を、次男には18の1/3の6頭を、三男には残りを渡すと考えることができた。
…というように、行き詰まった状態から、何か足したり引いたりするような「知恵」をもたらし、新たな均衡を作るのがセラピスト・ファシリテータの役割だ、と。

うーん。なるほど。

セクション3
デモセッションが行われました。(割愛します。)


振り返って思うのは、全体的に参加者の多くはちょっと理解し辛い感じ、だったか、と。
私は、そう言えば大学の卒業論文に「比喩表現」について追いかけて、記号論をかじった。
大学を卒業して、就職して10年目のリカレントでの修士論文では、「論説文指導」について取り組んだ。
理論などの抽象的なものの理解には、具体と抽象を行き来する自在さが必要となる。
つまり、抽象的な理論を理解するのに、どれだけ自分でその「具体」を想起できるか、に掛かっている。

比喩や喩え話が何のためにあるか、というと、「抽象」的な話の理解の検証のためにある。
だから、文章を要約するときには、比喩、喩え話、事例は全て落としてまとめる。
比喩、例え話、事例は、文章の「骨格」とはならない。

まあ、だから、理論の説明には、ラクダの話のような「具体例」「事例」をそれぞれ用意されていたら、
参加者も理解しやすかったか、と思われる。
…まあ、時間的な制約も大きいので、全て、そんなふうにはできないでしょうけれど。
(この辺りは、高校教材の「論説文・評論文」の文章の構造と同じ、です。)

いろんなことをつらつら考えることができた時間でした。
コンテンポラリー・ゲシュタルト。注目していこうと思います。

画像は、この前ドッグサロンに行って、「変身」してきたアンジー。
…おまえとも、いろいろ遊べたら、いいね!

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