朝。4時に目覚めて。うーん、もうちょっと、と思う。
今朝はもうちょっと寝ていよう。
だって。寒くて。もう少し、布団の中でぬくぬくしてたい、じゃない?
そのうちしっかり目が覚めてきて。
起き出さないことへの罪悪感が少し出てきて。
あ〜あ。しょうがないや。
で、5時に起き出す。
アンジーは? …まだお眠。
ちらりと私の顔を見て。ボクも起きようか? と言う。
あ、いいから。寝てて。まだ夜明け前。
私、『深呼吸の必要』を読むから。
今朝は…あ、これ! 「梅堯臣」。
「梅堯臣」 長田弘
日のつれづれ、熱い珈琲を淹れて、きみは
梅堯臣を読む。声を大にしない。華麗をやま
しくしない。梅堯臣は言葉の平淡さをまっす
ぐのぞんだ北宋の詩人だった。ミミズ。オケ
ラ。泥鰌。蛙。河豚。蚊。蝿。蚤。蛆虫。カ
ラス。何でも詩にした。誰にもみえていて誰
もみていない、平凡な日々の光景から詩を、
帽子から鳩をとりだすように、とりだした。
事固無醜好 事に固(もと)より醜好無し
醜好貴不惑 醜好は惑わざるを貴ぶ
なに、もともと物それ自体には醜いも好い
もないよ。大切なのは醜とか好とかにとりこ
にならないことさ。物を率直にみることだ。
人間の身勝手な感情で、この世をいたずらに
好ましいものとしたり、醜いものとしたりし
ないことだ。そうひっとりと一人呟いていた
千年のむかしの市井の詩人が、きみは好きだ。
✳︎梅堯臣=筧文生注による
そもそも。なんて読むの? 「バイギョウシン」?
あ、あった。「デジタル大辞泉」には、
梅堯臣[1002〜1060]中国、北宋の詩人。宛陵(安徽省)の人。字(あざな)は聖兪(せいゆ)。
技巧をこらした西崑(せいこん)派の詩風に反対し、感情の率直な表出を主張した。
「声を大にしない。」はい、それは望ましいこと。
「華麗をやましくしない。」…うーん、これは、どういうこと?
「華麗」は華やかで美しいこと。「やましい」とは、良心が咎めること、後ろめたいこと。
となると、華やかにしてしまって、後ろめたさに苛(さいな)まれるようなことはしない、ということか。
…まあ、これが梅堯臣の作風だったようだから。
「白髪三千丈」、は誰だっけ? 李白だったか。
長年の憂いが重なって白髪が非常に長くのびることを誇張していった言葉。心に憂いや心配事が積もることのたとえ、だけど。
まあ、漢詩は大袈裟な表現が多くて。三千丈って9キロメートル。
…実際にはそんなに伸びないけど。
まあ。こんな風なのが「華麗」かな。
ミミズ。オケラ。…これはドジョウ、だな。カエル。フグ。カ。ハエ。ノミ。ウジムシ。カラス。
ほお。「誰にもみえていて誰もみていない」ものか。…確かに。
「平凡な日々の光景から詩を、帽子から鳩をとりだすように、とりだした。」
…これは、素敵。うん。私も。帽子から鳩を取り出すように、言葉を取り出せたら、と願う。
「事に固より醜好無し/醜好は惑わざるを貴ぶ」か…。
そうね。物それ自体に、良いも悪いもない、か。
それをどう見るかは、人間の身勝手な感情、なんだね。
そしてその身勝手な感情に本人が振り回されていたら、どうにも仕方ないね。
「物を率直にみること」。
良いも悪いもない、と。良い悪いは自分の感情が決めたこと。
それに惑わされない。
そうか。…ちょっと、今の私を俯瞰(ふかん)して見ることができました。
ちょっと、梅堯臣の詩を探してみようと思います。
画像は生駒駅前ビルの花壇に植えられていたアネモネ。
一輪、何か、ふんわりと上を向いている様子が、印象的だったので。