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ポリヴェーガル理論の臨床応用への視座〜津田真人さんのセミナー「私たちの自律神経 ーからだ・こころ・社会との繋がりー」〜

2022/05/17
ポリヴェーガル理論の臨床応用への視座〜津田真人さんのセミナー「私たちの自律神経 ーからだ・こころ・社会との繋がりー」〜
5月7日。オンラインでの津田真人さんのセミナーに参加する。
津田真人さん。2020年1月の日本ゲシュタルト療法学会の「ファシリテーター集会」で、初めてお会いした。
自律神経は3つ、とするポリヴェーガル理論についての解説をされた。
2019年に『「ポリヴェーガル理論」を読む』という解説書を出されたあとのこと。

難解だけど、魅力的で。
それを、一生懸命コラムにまとめた。


お忙しいところ、私の書いたものに目を通してくださり、公開することに同意してくださった。
とてもとても感謝しています。
その津田さんが、今度はポリヴェーガル理論の臨床応用について話される、という。
非常にワクワクして、この日を待ちました。


午前中は自律神経のついてのお話と、ポリヴェーガル理論における自律神経の新しい理論について。
午後からは、私にとっては真打の「ポリヴェーガル理論の臨床応用」について。

☆ 自律神経の三層構造
 ◯「通時的」(進化の過程)にみれば、「背側迷走神経複合体」(脊椎動物のはじめ)→交感神経系(硬骨魚類)→腹側迷走神経複合体(哺乳類)の流れ
 ◯「共時的」(個体の構造)にみれば、
  ・「背側迷走神経複合体」は、生の驚異の環境下にあり、「不動化」(凍りつき〜シャットダウン)という反応を引き起こす。
  ・「交感神経系」は危険な環境下にあり、「可動化」(闘うか逃げるか)、つまり2つの選択をからいずれかを選ぶ反応を取る。
  ・「腹側迷走神経複合体」は安全・安心な環境下にあり、「社会的関与」に向かう反応を取る。
 ◯「背側迷走神経複合体」の「不動化」は「受動的な防衛行動」、「交感神経系」の「可動化」は「能動的な防衛行動」、
  「腹側迷走神経複合体」の「社会的関与」は「向社会的な行動」というように整理できる。

☆ ストレスもトラウマも、その出来事自体ではなく、出来事に対する生体の反応にこそ、本質がある。

☆「腹側迷走神経複合体」がしっかり働いていると、「交感神経系」も「背側迷走神経複合体」も健全に作動する。
  →過剰にも過少にもならず、最適のバランスとリズムを維持する。
  →この、「ホメオスタティック・ダンス」の指揮者が「腹側迷走神経複合体」

☆自律神経の3段階のブレンド(カップリング)
 ・「腹側迷走神経複合体」➕「背側迷走神経複合体」=安全な不動化(受容性) 
 ・「腹側迷走神経複合体」➕「交感神経系」=自由な可動化(自発性) あそび
 ・「背側迷走神経複合体」➕「交感神経系」=凍りつき 

☆ポリヴェーガル理論の臨床応用への視座(1)
 ・「ホメオスタティック・ダンス」の成立には、「安全感」が必要

☆3通りの「安全」
 ・無難な安全…予測可能で、ルーティン構造が守られるもの
 ・好奇な安全…予測可能ながら、ルーティン構造を時に破るもの
 ・自在な安全…予測外の、新たなルーティンを構築するもの

 ⇨このうち、「無難な安全」は、トラウマからの回復時に発動「好奇な安全」〜「自在な安全」は、トラウマ後成長として発動
 ⇨ゆえに、「トラウマ」とは、予測不能性による「安全・安心の剥奪」と制御不能性による「自由・自立の剥奪」により生じる、と言える。
 ⇨生体は、「不動化により、辛うじて持続可能性を保持する状態」にある、と言える。

☆ポリヴェーガル理論の臨床応用への視座(2)
 ・セラピーの目的は
  ①世界と柔軟に関与できる経験を持つこと
  ②他者とともにいても恐怖なしに不動化できること
  ③闘うか逃げるかでなしに自由に可動化できること
  であるが、セラピスト側が決めること? という疑念あり
  ⇨セラピーの目的以前に、セラピーのプロセスそのものを方向づける原理? ⇨トラウマセラピーの3段階論との検証


面白い。
「ホメオスタティック・ダンス」という、生体の望ましい状態を生み出すべく、セラピストが働きかける、その方向は、一セラピストの「意図」を超えて、セラピーのプロセスそのものの方向性ではないのか、というご指摘。
そうすると。セラピーの方向は、セラピストの「意図」「願い」ではなく、生き物の、生き物としての原理に沿うものとなる。
なるほど。
ああ、本当に。とても深いところに到達されているのだなあと思いました。

最後に「質疑応答」の時間が用意されていて。
私も2つ質問しました。

☆ 「ポリヴェーガル」の呼称ですが、どうして「ポリ(多くの)」を用いるのですか? 3つの自律神経というならば、「トリ」でいいのでは? 「ポリ」とする理由を知りたい

戻ってくる方の神経と出ていく方の神経がある話をしました。戻っていく方が1つあり、出ていく方が2つある、ということがある。
出ていく方の2つあるうちの、実は腹側の迷走神経の中が、心臓に行く方と生体とかに行く方とはちょっと性質の違った神経のものになっている。
厳密に言うと分けないといけないし、といった細かい区分がもう少しある。
それで、「たくさん」ということになってくる。

☆ 固着しないことが大事なんだなあと思って。動きがあるというか一つに固まらないというか身体の反応としても、揺れている状態が、止まっている状態ではなく、揺れている状態が、正常みたいなレベルの話から、そうすると、固着しているということは、選択肢がない。

そういうことになるね。

選択肢がない状態でもって固まってしまっている。
ゲシュタルトを学んで、びっくりしたのは、昔子どもの時、あなたはそういった選択肢がなかったかもしれないけれど、今は別の選択をすることもできるんだよね、みたいな、そういう選択肢を広げるワーク、営みだったなあというのと、もうひとつは、選択肢を広げた中で、選ぶ、、自分で選ぶ責任を負う、というところがゲシュタルトに対して凄いなと思ったきっかけ。
残っている言葉としては「ゲシュタルトは被害者の立場を取らない、被害者の立場に立たない」。
選択肢がないものではなく、あって、なおかつ、自分が選べて、選んだ責任は自分で取る。そういう流れでいけば、先ほどの自由度の、安全確保の話から言うと、それとどう絡むか、もう少し説明をいただけたらありがたいです。

何について?

3段階、安全な立場でいる状態、ちょっと探索する状態、不安を自分の中で取り込むような状態、という3つの段階を最後の方で示されたように思うのですが、その辺りと、私の今ぼやっと思い出したことと、まだ私の中で、ちょっと整理できていないのですが、

選択肢が広がっていくことに関してでしょうか?

選択肢は、広がっていってますよね。でも、ゲシュタルトの絡みで言えば、選択肢があるということ1つだけじゃないということと、選択肢があって、複数の選択肢があって、それを選ぶことができる、選んだ責任というものは自分で取らないといけない、あなたは被害者の立場に立ち続けることはない、というその流れと、どう絡むか。

やらされたんじゃなくて、自分がこれを選んだ、ということですよね、責任を取る、というのは。

そうです。これしかなかった、と言ったら、これしかない、選択肢がない中で、自分はそうせざるを得なかったというところで、言ってみれば、逃げるんですが、もちろん、子どもの時であるとか、自分がどうしようもない時に「それしかなかった」は確かにそうだったと思うのですが、しかし、その状態で固まって大人になってもその状態をずっと保持し続けるというのは、いわゆる自分の中の「逃げ」を作っていることに気づけていないということかなと思ったんですが。

気づいていくこと自体がワークということになりますよね。

はい。そのことと、先ほどの3つ、安全圏からとりあえず安心、安定を確保するというところ、探索を加えていくところ、

探索を加えていく、第2段階のところが、結局、選択肢を広げていく段階だと思うんですね。

はあはあ、そう繋がるんですね。

そうそう。その上で、選んだことに責任を持って切り開いていく、というのが3段階目になってくる、と思います。

ああ、なるほど。


こんなふうなやりとりが展開されたと思います。
私がまだ、きちんと整理できないままに質問してしまったので、質問の焦点が見えて来ず、困られたのではないか、と思います。
私が自分の疑問を言葉化していくのを、待ってくださいました。

けれど。まだ形にならない「疑問」を、「質問」にしていくには、言葉を紡ぎ出すしかない、ところもあって。
ん? とか 何だろう? と湧き上がる「疑問」を、人に差し出す「質問」にするには、言葉にしていく中で、整理するしかなくて。
私も、こうやって振り返りをして、「疑問」が「質問」になっていく過程を見ることができました。
(ソクラテスも、こういう「問答」を奨励したのよね? とか。今、思いました。)
(「質問の意味がわからない」というような切り返しは、問答を拒否する言葉だったんだ、と気づきました。)

本当に。刺激的なセミナーでした。
アップデート、進化されていく津田真人さん。今後も見たい(すみません、失礼な物言いで)と思いました。

画像は、今朝のアンジー。
まだ7時になっていないので、眠そうなところを一枚。
昨日、トリミングに行って、尻尾の形を、先をまあるく「進化」(?)させたのだけど、起きてくれなくてご披露できず、残念。

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