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妻と父の支え〜映画「汚れたミルク あるセールスマンの告発」〜

2023/09/17
妻と父の支え〜映画「汚れたミルク あるセールスマンの告発」〜
奈良シネマクラブ、第326回例会の上映は「汚れたミルク あるセールスマンの告発」。
昨夜、観てきました。
受付で配布されるパンフレットには「上映5分前の映画情報」があって。そこには事務局長、溝江純さんの解説があり。
これがとてもわかりやすく素敵なものなので、そのまま引用させていただきます。

●多国籍企業を相手に徒手空拳で闘う男
 大傑作『ノー・マンズ・ランド』(すでに例会で上映しましたね)のダニス・タノヴィッチ監督の話題作。
傑作にて世界を揺るがした問題作をようやく例会で扱うことになりました。
 パキスタンで実際に起きた出来事をテーマに描く社会派ドラマの登場です。
アメリカのPG &E社の地下水汚染を取り上げた『エリン・ブロコビッチ』、アメリカタバコ産業の不正を告発した『インサイダー』と同じく、多国籍企業を相手に闘う男を題材にした映画です。
企業が粉ミルクの販売を強引に推し進めたことにより、次々と命を奪われた子どもたち。
その企業犯罪をくいとめるために立ち上がる、一人のセールスマンの奮闘を描きます。
人間の良心を呼び覚ます正義の闘いに、胸を熱くしながらご覧くださいね。

●ストーリー

 パキスタンでセールスマンとして働くアヤンは、粉ミルクの販売を担当していました。

仕事は順調で、生活も安定します。

しかし、ある日、自身が売った粉ミルクを衛生的に問題のある水で溶かして飲んだ赤ちゃんが命の危険に晒されている事実に気づきます。

責任を感じたアヤンは、これ以上の犠牲を出すまいと闘いを開始するのでしたが……

●俺には口がないそれでも俺は叫ぶ
 『汚れたミルク』は2014年の完成後、いくつかの映画祭で何度か上映されたことがあるものの、劇場で公開されること自体がなかなか困難でした。
知る人ぞ知る映画です。
しかし、なぜ、劇場公開が進まなかったのか。
それは、この作品が、あるグローバル企業に対する、実在のセールスマンの告発を描いたからです。
国際的大企業を告発などしたらどうなるか。
大企業を告発したセールスマンは、この告発のために脅迫を受け、命の危険のため祖国に帰れず、家族とも離れて暮らすようになってしまっています。
 セールスマンの告発は、市民人権団体の応援を得て、ドイツでテレビ特集番組化がなされますが、猛烈なる企業からの妨害に遭い、放映寸前に挫折します。
これに対抗して映画が制作される様子が冒頭から描かれ、物語は、あくまでもフィクションという体裁をとりながら、実話をなぞるように展開します。
『汚れたミルク』は、現在進行形のドキュメンタリーとも言えるのです。
この映画をご覧になったみなさんは、映画の作り手が巨大企業からの法的反撃を想定し、極めて慎重な製作態度であることを感じると思います。
企業名は架空の「ラスタ社」となっていますが、ほんの一瞬、「ネ◯レ」の社名が流れます。
命がけの、これが精一杯の闘いです。
 実はネス◯は、二度にわたって乳児用粉ミルクのボイコットがなされています。
◯スレの立場は、製品自体に瑕疵はなく、発展途上国のインフラ整備がなされていないことが赤ん坊の死亡事故続発の原因だとしています。
それが事実だとしても、発展途上国のインフラ整備に問題があるのはわかっているわけですから、危険を一切告知しないで製品販売するのは問題ではないでしょうか。
 奈良シネマクラブ以外ではなかなか観る機会のない作品だと思います。
ごゆっくり、ご鑑賞ください。(記 溝江純)


(以下、映画のネタバレも含みます。)
国産の薬を医者に売るセールスマン、アヤンの姿が冒頭で描かれる。医者は安い国産の薬ではなく、多国籍企業のものを使いたがる。
「患者が欲しがらないからね!」「でも、1/5の価格の薬を欲しがる貧しい人もいるはず…」。
医者はアヤンの言葉にまるで耳を貸さない。

それは、後で展開される、粉ミルクを売るための、医者やその他医療従事者に取り入るため、さまざまな便宜を図るお金が動く、ということの伏線だ。

患者のためではなく。医師の利益のためにものごとが動いていく。
粉ミルクもそうで。汚れた水に溶かしたミルクは下痢を引き起こす、だけでなく。
貧しいから、適量の粉ミルクを使わずに薄めたミルクを与えた親によって、栄養失調を引き起こした。
しかも。母乳に含まれる免疫が粉ミルクにはない。

なんということ!
粉ミルクで育った赤ちゃんが次々と死んでいく。

自分も二人の子どもの親となったアヤンは良心の呵責に苛まれ、迷いなく会社を辞め、粉ミルク販売をストップされるために企業を告発する決心をする。

企業の、家族を危険に晒してもいいのか?という脅し。
それに屈しかけて、お金の支払いを受けることで、もうこの件から身を引こうとして、妻からは「信念を曲げる人は夫として尊敬できない」と言われ、父からは「そんな人間に育てた覚えはない」と言われる。
ちょうどその時、ドイツでの番組製作の誘いを受けたアヤンは、ドイツ行きを決心する。

ドイツでは、金銭の要求をしたアヤンとの電話のやりとりを録音したものがテレビ局に送って来られて、それでテレビ番組放映自体が流れてしまう。

うーん。。
一昔前では金銭要求した、ということで、もう信頼を失って、という流れだったろうな、と思う。
しかし、その後思い直して、結局はそういった交渉に臨まなかった、という事実で動いていく(判断される)、とは思うけど。
しかしこれも、「企業の圧力」に屈した、ということかもしれない。テレビ放映されなかった、のは。

私には。アヤンにも迷いがあって。
もうしんどい、もうやめたい、という気持ちがむくむくと湧き起こっても不思議ではない、と思う。
だって、家族を危険に晒してもいいのか? 家族の生活費はどうするのか? と際限なく不安が押し寄せるのは当たり前で。
だから。妻や父の言葉は、重い。
そして、その代償を妻や父も払うことになる。
7年も家族と離れて暮らし、両親の死に目にも会えず、そして、映画のエンディングロールには、祖国を離れ、カナダでタクシー運転手として暮らしている、とあった。

映画が作られてから9年が経つ。
その後のアヤン一家はどうしているだろう?
良心に従って、企業告発という、本当に勇気ある行動を選択したアヤン。
しかし、その犠牲は大きい。
でも。その家族が今もそのことを誇りに思って生きていたらいいな、そうあってほしいな、と願う気持ちになった。

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