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見捨てないから言えること〜長谷川集平 作『はせがわくん きらいや』〜

2017/07/29
見捨てないから言えること〜長谷川集平 作『はせがわくん きらいや』〜
奥付には「1984年3月30日15版発行」とあります。
すばる書房から出ています。
大学を出てすぐの時期ですね。
多分…大学の何かの授業で紹介されて、気になっていたので買ったのかな…?
「1987年4月28日」の日付で、「長谷川集平著者別銘柄リスト」なるものが最後のページに挟まっていました。
…ということは、高校に就職して、最初の転勤となった時期ですね。
昔懐かしい、8インチ版のフロッピーディスクの頃の、両脇に穴が空いて出てくるプリントアウトです。

表紙絵からして、ちょっと余り「美しい」とは言えないような線描。
続く、最初のページもこんな風。


「この前なんか、ひどかったんや。
ぼくら日曜日に広峰山に登ろゆうとったら、長谷川くんが『僕も連れてって。』ゆうんや。
『あかんあかん、君へたってまうで。」ゆうたら泣き出しよんねん。
よっちゃんが、『かわいそうや。つれてったろや。』ゆうて、まあしょうがないから、連れてったることにしたんや。」

その結果、どうだったか、というと…


「日曜日の朝から山へ登った。
十分も歩かんうちに長谷川くん、まっ青なかおして汗びっしょりなんや。
『しんどいんか。』ゆうて聞いたら、へなへなへたってしもた。
おかげでぼくら、こうたいで、長谷川くんおんぶして登ったんやけど、途中で雨がふってきて、めちゃくちゃやった。」

おやおや、まあまあ、ですね。
「こてんこてん」の大阪弁で、子どもの「告発」は続きます。
長谷川くんが幼稚園に来たときの話。
トンボを撮ってあげたのに、「虫は嫌いや」言われた話。
小学校に入って長谷川くんがピアノを習い始めた話。
…長谷川くんのおばちゃんに「なあ、おばちゃん、なんで長谷川くんあんなにめちゃくちゃなんや」と聞いたら、おばちゃんから「あの子は赤ちゃんの時、ヒ素という毒の入ったミルクを飲んだ」ことを聞かされる。

「『おばちゃんのゆうこと、ようわからへんわ。なんで、そんなミルク飲ませたんや。おばちゃんのゆうこと、わからへん』
『そうやろね。そやけどあの子と仲ようしてやってね。』ゆうて、おばちゃんはキャンデーくれたった。
そやから山もいっしょに連れてったる気になったんやで。」

だのに、山登りもへたばるし、野球やってもゆるい球投げてもらっても三振だし、…「長谷川くんといっしょにおったらしんどうてかなわんわ。」ということになる。
けれど、一緒にいるんですね。


「長谷川くんなんかきらいや。大だいだいだい だあいきらい。」
で、終わるのですけれど、泣く長谷川くんをおんぶしながら、そう言うのですね。

なんだか不思議な感じでした。
もう、嫌だったら放って置けばいいのに、そうはしない。
最後のこのシーンだけが妙に心に残って。

「あとがき」で、昭和30年の森永ヒ素ミルクによって、西日本中心に推定2万人以上の乳児が身体に異常をきたし、125人(昭和32年当時)の赤ちゃんが死亡したこと、作者長谷川集平さんも、このミルクを3缶飲んでいることが明かされます。

「母が事件を知り断腸の思いで母乳にきりかえ現在私は二十才をむかえて健康にありますが、生まれつきのほそいからだとやはりこのモリナガぬきに今の私は語れません。
私は、私の幼少のときのこと、貧しい母子家庭に育った旧友のA君のこと、病弱でしかしのんきないいやつだったけど友だちになってまもなく死んでしまったT君のこと、それからR君、Nくん…それから、この夏、学童保育クラブでバイトした時知った子どもたちを思い出しながらこの本を書きました。ぼくは、ちいさいころ(今より)よわみそやった。 昭和50年十月、集平」

第三回すばる書房創作絵本新人賞を受賞し、絵本界にデビュー、とありました。

…なんか、ね。
母と私を見ているようで。
放っておけないけど、好きじゃないとき、ある。
しょうがないから、時には負ぶってあげるけど、でも自分で歩いてほしい。
でも、やりきれなくて「嫌いやー」と叫びたくなる。

まあ、いいか。
「よわみそ」だった長谷川くんも立派に絵本作家になったように、そのうち母もそれなりに…。
見捨てはしないけど、私にできることとできないことの区別を考えておこう。
無理なくそれぞれの人生を全うするために。
…それで、いいよね?

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