この絵本は、…いつだったか、転勤が決まっての離退任式の檀上で、読んだ記憶があります。
フレーベル館の2001年第1刷発行ですが、私の持っているものは2005年の第23刷。
身近なものを取り上げて、まずは、スプーン。

「スプーンは、
たべるときに つかうもの
てで にぎれて
くちの なかに あうんと おさまり
たいらじゃ なく くぼんでいて
ちいさな しゃべるみたいに
いろいろな ものをすくいとる
でも スプーンに とって
たいせつなのは
それを つかうと
じょうずに たべられる
と いうこと」
こんな風に、その役割の中心が語られます。
引き続き、白菊、雨、草、雪、りんご、風、空、靴、と続き、最後は何でしょう?
「あなたは あなた
あかちゃんだった あなたは
からだと こころをふくらませ
ちいさな いちにんまえに なりました
そして、さらに
あらゆることを あじわって
おおきな おとこのひとや おんなのひとに
なるのでしょう
でも あなたにとって
たいせつなのは
あなたが あなたで あること」
で終わります。いろんなものの「役割」をみてきて、最後に「あなた」を持ってこられると、う〜ん、私の役割はなんだろう? って、つい考えてしまいます。
でも、それまでに「ひなぎくにとって大切なのは白くあること」「雨にとって大切なのはみずみずしく潤すということ」…というように、そのもの本来が持つ特性が「大切なこと」である、とうたっています。
その流れでいくと…、そう、「あなたはあなたのままでいいんだよ」というメッセージなのです。
いつもいつも元気であるとは限らない。雨の日も曇りの日もある。
でも、あなたの存在は、ちゃんとここにある。
そんな風なメッセージだと思います。