今朝は、とっておきの私のお気に入りの詩を。
川崎洋の詩「ほほえみ」です。
「読書への誘い」第67号で紹介したものです。
「ほほえみ」 川崎洋
ビールには枝豆
カレーライスには福神漬け
夕焼けには赤とんぼ
花には嵐
サンマには青い蜜柑の酸(す)
アダムにはいちじくの葉
青空には白鳥
ライオンには縞馬
富士山には月見草
塀には落書
やくざには唐獅子牡丹
花見にはけんか
雪にはカラス
五寸釘には藁人形
ほほえみ には ほほえみ
(詩集『象』思潮社・1976年刊)
「ビールには枝豆/カレーライスには福神漬け」から始まって。
そうそう、「それが付きもんだよね」という抵抗のない言葉から始まります。
引き続き「夕焼けには赤とんぼ」も、まあ、そうか、と。
「花には嵐」って、そうか、そういうときもあるね。
桜も…春の嵐で、一瞬にして散ること、ある。
…ここで、ちょっと井伏鱒二の「勧酒」(『厄除け詩集』)の一節「ハナニアラシノ タトエモアルゾ」を思い出したり…。
「アダムにはいちじくの葉」には、知恵がついて急に隠したくなったアダムの格好を想像して、ちょっとフフっと笑えたり。
「青空には白鳥」には、若山牧水の短歌「白鳥(しらとり)は哀しからずや 空の青 海のあをにも染まずただよふ」がちょっと頭をよぎったりして…。
白さが周囲に馴染まない、孤高の精神。
「ライオンには縞馬」…これには、縞馬さん、食べられちゃうの? と心配になり。
「富士山には月見草」、これは太宰治の「富士には月見草が似合う。」という有名な一節ですね。
「塀には落書き」もよく見かけるけど、あとはどんどん物騒になり…
「五寸釘には藁人形」で、ぎょっとして…。
昔、20代の頃、私見たことあるんです。
「山辺の道」の一角を歩いていて、鬱蒼(うっそう)と高木が立ち並ぶ中で、1本の木に藁人形が打ち込まれているのを。
…なんだか、ゾッとして急いでそこを離れた記憶があります。
だって、そうまでする「怨念」が漂っていそうで…。
で、どうなるのか…と思わせておいて、
「ほほえみ には ほほえみ」。
憎いですねえ…こんなやり方。
何事も自分が鏡ですから、自分から、なんて言われたらお説教くさくて嫌ですけど。
はらはらドキドキさせて、「だから、ね。こんなのじゃなくて、こっちがいいでしょ?」
って差し出されたら、そうだなあって思いますものね。
まあ、微笑まれて、怒る人はいませんよね。
荒れる子には、叱りつけるより微笑んだ方がいい。
そうすると、次第にその子の気持ちが収まってくることを、長い教員生活の中で私は学びました。
「ほほえみ には ほほえみ」。
今日一日が、あなたにとって、いい日でありますように。
画像は、朝の杏樹(アンジー)との散歩で見つけた、ご近所の塀の一角のお人形。
後ろ向きに並んでいるところに、朝日が差し込んでいました。
カウンセリングルーム 沙羅Sara
あなたはあなたのままで大丈夫。ひとりで悩みを抱え込まないで。
明けない夜はありません。
電話番号:090-7594-0428
所在地 : 生駒市元町2-4-20
営業時間:10:00〜19:00
定休日 :不定休