これは、がまくんとかえるくんシリーズ1冊目『ふたりはともだち」の中に収められている作品です。
文化出版局から1972年に第1刷が出されている、アーノルド・ローベル、1970年の作品。
《なつのある日のことです。
かえるくんは びょうきでした。
がまくんが いいました。
「かえるくん。きみ ひどく かおが 青いよ。」
「だって ぼく、いつだって 青いんだよ。」
かえるくんが いいました。
「ぼく かえるなんだもの。」
「それにしたって、きょうは とくに青いよ。」
がまくんがいいました。
「ぼくのベッドでお休みよ。」》
…なんか、ね。
悪いけど、笑えます。
「だって ぼく、いつだって青いんだよ。」「ぼく かえるなんだもの。」
そうか!って感じ。
それでも、いつもそばにいるがまくんは、「今日はとくに青い」ことを指摘します。
《がまくんは かえるくんに あついお茶を一杯つくってやりました。
かえるくんは お茶をのんでいいました。
「ぼくが休んでいるあいだに
ひとつ おなはしして くれないかい。」》
そうですね。具合の悪いときは特に、眠りに入るまで、なあんとなく「お話」聞きたいですね。
子どもの頃のそんな感覚、思い出しました。
…なんでもいいんですよね。
お話聞かせてくれる人が、そばにいていてくれる、というのがいいのかもしれない。
さて、がまくんは困りました。
一生懸命考えて…家の前をぶらぶらしたり、
家の中に入って、逆立ちしたり。
コップの水を頭にかけてみたり、
頭を壁にドシンドシンとぶつけてみたり…。
それでもなあんにも思いつかなくて。
そうこうするうちにかえるくんは良くなって。
《「もうおはなし いらないよ。」
「じゃ、きみ。ベッドからでて、ぼくをベッドにいれてくれたまえよ。」
がまくんがいいました。
「だって ぼく、とても ちょうし わるくなっちゃったんだ。」》
それはそうかもしれない。
お話が出て来ずに、いろんな…身体を痛めつけることまでやってしまったものね。
《「がまくん、きみ ぼくの おはなし ききたいかい?」
かえるくんがいいました。
「うん。」がまくんがいいました。
「しってるなら、しておくれよ。」》
さて。かえるくんが話してくれたのは…
がまくんが、かえるくんにしてあげる「お話」を思いつくためにやってみたあれこれを、「お話」にしたものでした!
《…こんなの どうだい、がまくん?」かえるくんがいいました。
でも、がまくんは へんじをしませんでした。
がまくんは もう ねむって いたのでした。》
「お話」をねだられて、一生懸命だったがまくんの行動が、今度は「お話」になる。
なんということもないのですが。
ちょっと、ほっこりとしたので、取り上げてみました。