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思った そのことだけが のこってゐて〜吉原幸子の詩「忘れた」〜

2018/11/30
思った そのことだけが のこってゐて〜吉原幸子の詩「忘れた」〜
今朝は、「読書への誘い」第75号を更新して、
その時目にした吉原幸子の詩「忘れた」を、
取り上げたいと思います。

再び目にして、なんだかずっと
気になっていたのですけれど、
でも、何が気になるのかがはっきりしなくて、
それで今日まで置いたままにしていたのです。

今まだ、何が気になるのかがはっきりしないのですが。

  「忘れた」  吉原幸子

 

 覚めたとき わたしにはわからない

 夢のなかで みたと思った色が

 色 そのものであったのか

 それとも ただ 色の記憶であるのか

 

   赤なら 赤

   といふことばによって ふりかへる

   するともう 赤はない

 

 そして 今

 わたしには わからない

 持ったと思ったものが

 生活 そのものであったのか

 さまざまの色の断片(きれぎれ)に ちりばめられた

 ただ 生活の 記憶であるのか

 

 夕やけのガラスは オレンジ色だと思った

 シャワーの水しぶきは ダイヤモンド色だと

 

 思った そのことだけが のこってゐて

 水しぶきも ガラスも のこってゐない 今

        (詩集『幼年連禱』・ 1964年刊)

 

 

 

色付きの夢って私はあまり見たことがないのですが。

あとであれは鮮やかな青だった、と思うことはあっても、

全体に色があった風でもなくて。

 

しかし、それが確かに夢の中で見た色だったのか、

その色の記憶を、目覚めた後で思い出しただけなのか、

と問われると、私も定かではない。

 

私は作者と違って、そんなことを問題にしたことはなかったけれど。

 

実際に夢に見たのか、

自分が過去の記憶からそう思っただけなのか…

という問題は、

自分の生活そのものへと向けられる。

「持ったと思ったものが/生活 そのものであったのか

 さまざまの色の断片(きれぎれ)にちりばめられた/

 ただ 生活の 記憶であるのか」と。

 

ああ、自分が「持った」と思ったものの不確かさをテーマにしているのね。

 

今、私は引っ越しのための片づけをしていて、

2年半前に「とりあえず」物置に放り込んでおいたものの存在に

びっくりしたりしている。

私は、広島にいた25年の間にも

引っ越しを4回もしたので、

そのたびごとに「断捨離」して来たつもりではいるのだけれど。

 

大切にとっておいた「もの」が

そのまま大切なものである場合もあるし、

今となってはもう大切でなくなっているものもある。

 

「今となってはもう大切でない」のは、

そのとき「大切に思えた」ものでも、今では必要でなくなって

そのときの「輝き」が色褪せてしまったから。

 

「もの」が大事というより

「もの」によって呼び起こされる「記憶」が

大事なのかもしれない。

 

「記憶」は「もの」で残せないものもあって。

それは「夕やけのガラス」であったり

「シャワーの水しぶき」であったり…する、「生活の 記憶」。

 

「思った そのことだけが のこってゐて/

 水しぶきも ガラスも のこってゐない 今」

とは、夕やけのガラスを見ても、

そのときのような「オレンジ色」だと思えない自分、

水しぶきを見ても、

そのときのような「ダイヤモンド色」だと思えない自分が、

今、ここにいる、という意味でしょう。

 

となると、問題は、

そのときのような、みずみずしい感覚を持てない「自分」にあるのでしょう。

 

ああ、作者が見失っているのは

「みずみずしい感覚を持っていた自分」なのですね。

 

そうか…。

でも、それなら、また、取り戻せる。

 

何か辛いことが続くと、

いっとき、

「感じる心」を麻痺させて乗り切ろうとするから、

そんな風になったりもするけれど。

 

でも、大丈夫。

「感じる心」は決して失われたりはしない。

カウンセリングに来られる方を見ていて、

そう思います。

 

大丈夫。

あなたにも、笑顔が戻ります。

 

画像は、自宅のウッドデッキ。

母のたっての願いで、

白いブランコと、オレンジのパラソルは引っ越し先に持っていきます。 

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