長田弘の「最初の質問」という詩の第4連。
夜明け前に鳴き交わす鳥の声を聴いたことがありますか。
ゆっくりと暮れていく西の空に祈ったことがありますか。
何歳の時の自分が好きですか。
上手に年を取ることができると思いますか。
世界という言葉で、まず思い描く風景はどんな風景ですか。
夜明け前に鳴き交わす鳥の声…
う〜ん…そうね…多分、ある。
生駒の駅前ロータリーの木に、雀の巣があるようで、
夕方になると、チュンチュクかしましい。
(かしましいって、漢字で書くと「姦しい」なんだよ。
ホント、漢字って男が作ったものだよね。いっそ、鳥をみっつ、重ねたらいいのに。)
しかし…朝は鳴いているんだろうか?
行って聞いてないので、わからない。
朝起き鳥の鳴き声は、でも、聞いたこと、ある。
うん。お喋りするみたいに。
あ、返事してる! と思ったこと、あったもの。
ゆっくりと暮れていく空?
え、暮れていくときには「ゆっくり」ではないでしょう。
とくに今は「つるべ落とし」のようで。
あ、「ゆっくりと」は「祈る」に掛かるのか!
日暮れ時は慌ただしいことが多くて、ゆっくりとした時間を持つことは少ない。
朝日は…ゆっくりと眺めていたりするけれど。
あ、でも、二上山(ふたかみやま)に沈む日を、
カメラに収めようとして出掛けた時には、
ゆっくり眺めていた。
「祈る」? …う〜ん…。
朝日に祈ることはあっても、夕日に祈ることは…ないような。
二上山に落ちる日を眺めていたときには、
大津皇子の死を悼んだ、山辺皇女(やまべのひめみこ)を想っていた。
それは「祈り」と言えなくもないような。
何歳の時の自分が好きか…う〜ん、難しい。
子どもの時には、いつも真綿で首を絞められるような感覚があって、
だから、あまり好きではない。
うん。「今の自分」が好きだよ!
いつも、「今」がいい。
上手に年を取ることができると思うか…いや、難しいな。
私はいくつになっても「分別(ふんべつ)のついた」行いはできそうにない。
興味があるものがあったら、何を置いてもすっ飛んでいくし、
知りたくてたまらないことは、とことん追求する。
あ、そういえば、最近80歳のクライエントさんが来られたけど、
彼女も自分を称して「好奇心の塊」と言われていた。
母と同い年なんだよなあ…と思いながら、でも本当に若々しくて。
瞳をキラキラさせて話をされるのを聞いていると、本当に可愛い女性(ひと)だなあと思う。
あ、そう言えば、セッションをしながら、私に合ったジュエリーを作ってもらう機会があったんだけど、
その方が、私の生年月日から「三碧木星さんは、3歳児の好奇心をお持ちですから…」と言われたような。
なるほど! 3歳児の好奇心、ね。
…「上手」には歳を取れないけど、「楽しく」は取れそう。
「世界という言葉で、まず思い描く風景」。
27の時に訪れた、カシュガル、トルファン。新疆ウイグル自治区。
シルクロードが見たかった。
乾燥していて、気温が高くとも、さらりといていて。
少し、埃っぽかったけれど。
それから、31の時に訪れたスペイン、アンダルシア地方。
劇場ではなく、バルのフラメンコが見たくて行った。
青い空に、オレンジの実がたわわになった風景。
街で飲んだオレンジジュースも、美味しかった。
これから、まだ、何処へ行く?
…そうね。ボサノバが生まれた南米か、アジアに惹かれる。
何が見たい? …人の、生きて生活するさま、を。
何を感じたい? …乾いた空気を。風が吹くのを。
今生の私の「課題」を考えられるところに、行きたい。
来し方行く末を想いながら、まだし残したことは何か、考えられる場所に行きたい。
ふうっと、そんなことを考えました。
画像は、櫻井詢晃さんに作ってもらった、ジュエリー。
2時間ぐらいお話しして、そのあと30分ぐらいでひょいひょいと作られていくのですが、
最初から設計図があるのではなく、どんな形になるのか、予想もつかないのだとおっしゃっていました。
私は…私の書くコラムと同じだなあと思いました。…「ほっと一息」の方ですが。
私にとって、このジュエリーは「世界」を感じるものです。