1月7日、午後7時。
久しぶりに、倉橋みどりさん主宰の句会に参加しました。
配布された資料には「桃月句会」とありました。
(…へぇ〜と思ったのですが、詳しい説明を聞くの忘れました。)
その資料には、「俳句とは?」とあって、
季節のめぐりに感謝する詩。季語を入れ、季語に思いをたくす。
とあり、なんだかとても新鮮に感じました。
…そうか…「季節の巡りに感謝」なのか…と。
今回は、実際に句を詠むのではなく、新年の句を味わう会でした。
新年の季語ごとに、その季語を含む句が紹介されて。
【新年】 ・木に石に注連(しめ)かけて年改まる 右城墓石(うしろぼせき)
・年迎ふ故人の部屋に灯を点(とも)し 中嶋秀子
【初空 初御空】 ・初空や大和三山よきかたち 大橋越央子(えつおうし)
【初東雲】 ・徐々に徐々に初東雲といへる空 後藤比奈夫(ひなお)
【初茜】 ・初茜波より波の生れけり 小島花枝
【初晴】 ・初晴れのどこにも人の見当たらぬ 鷲谷七菜子(わしやななこ)
【御降(おさがり)】・御降の何も濡らさず止みにけり 白濱一羊(しろはまいちよう)
【淑気(しゅっき)】・瘤(こぶ)立てて松の根走る淑気かな 廣瀬直人
【松の内】 ・三日程富士も見えけり松の内 巌谷小波(いわやさざなみ)
【小正月】 ・煮こんにやくつるりと食へば小正月 松本旭
【女正月】 ・女正月つかまり立ちの子を見せに 中野三允(さんげん)
【二十日正月】 ・文楽に二十日正月とて遊ぶ 大橋敦子
たくさんの発見がありました。
注連縄(しめなわ)の「しめ」ってこんな字書くんだ! とか、「初空(はつぞら)」「初御空(はつみそら)」という言葉、とか。
「初東雲」という言葉も初めてでした。「元旦の明け方の空」を言うそうで、「雲の有無とは関係ない」と説明書きが。
「初茜」とは、「初日の上がる直前に、空が茜色に染まること」だそうで、ただし、「冬茜」「寒茜」は夕焼けをさす冬の季語、だそうです。…ふうん。
「御降」という言葉は初めて知りました。
元旦あるいは三が日に降る雨や雪のこと、なのだそうです。
お正月に雨や雪が降ってきても「あ、御降だ」と喜ぶ。
まさしく「季節のめぐり」に感謝して。
晴れても良し、雨や雪が降っても良し、というのは、なんだかとっても豊かな受け止めだなあ…と思いました。
「淑気」という言葉も初めて知りました。
新年の天地に満ちる清らかで厳(おごそ)かな気、のことだそうです。
俳句は、こんな空気感も詠むんだ! とちょっと嬉しくなりました。
「小正月」「女(め)正月」は知っていたけれど、「二十日正月」は知りませんでした。
「正月用の魚の残りの骨で、料理をつくったことから骨正月とも。祝い納めの日」ということだそうです。
新年、というだけで、重い「季語」だから、情景はさらりと、さりげなく詠むのがいいのだ、とのご説明。
たとえば「初空や大和三山よきかたち」の句は、大和三山を眺めただけなのだけど、でも「初空」に見る大和三山は、それだけで違って見えるのだ、と。
「三日程富士も見えけり松の内」も、関東の「松の内」は6,7日間なのに、そのうち半分しか富士山は見えなかった。
だけども、見えた方に焦点を当てて、それも「程」と、…そう意にも介していないかのように、詠む。このさりげなさ。
…まあ、ちょっと気取っているようにも思えますけれど、これが「粋(いき)」の領域、なのでしょう。
あ、関東なら「粋(すい)」か。
先生に、「どの句が良かったですか?」と問われ…
私は「徐々に徐々に初東雲といへる空」を挙げました。
少うしずつ少うしずつ、空の色が変わっていき。そして「といへる」という言葉の持って来かたが、なんとも。
ああ、これが、いわゆる「初東雲」と呼ばれるものなんだな、という作者の認識が、そこに示されているように思えて。
ちょうど、元旦に、生駒の少し高台になった場所から、初日の出を、息を詰めるように見つめていたので。
画像は、元旦に撮った、ご来光。