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木のおおきさとおなじだけの沈黙〜長田弘の詩「大きな木」(『深呼吸の必要』所収「大きな木」から)〜

2020/02/22
木のおおきさとおなじだけの沈黙〜長田弘の詩「大きな木」(『深呼吸の必要』所収「大きな木」から)〜
今朝は、なんとなく長田弘の詩集『深呼吸の必要』を手にとって、ぱらぱらとページを繰りました。
そこには「あのときかもしれない」シリーズと、「おおきな木」シリーズが入っていて。
「後記」には、

言葉を深呼吸する。あるいは、言葉で深呼吸する。そうした深呼吸の必要をおぼえたときに、立ちどまって、黙って、必要なだけの言葉を書きとめた。そうした深呼吸のための言葉が、この本の言葉の一つ一つになった。
本は伝言板。言葉は一人から一人への伝言。
伝言板のうえの言葉は、一人から一人へ宛てられているが、いつでも誰でもの目にふれている。いつでも風に吹かれているが、必要なだけの短さで誌された、一人から一人への密かな言葉だ。伝言が親しくとどけば、うれしいのだが。
「あのときかもしれない」「おおきな木」、ともに、以て定稿としたい。(1984年2月)

とありました。
…そうか。「言葉を深呼吸。あるいは、言葉で深呼吸」の時の言葉たちなのか。
確かに。私も深呼吸の必要を感じたときには、必要な言葉を自分の体内に入れ、その言葉で心を落ち着かせている。
ああ、そうなんだ。と、詩人をとても近しく感じた。

「おおきな木」は24篇の詩から成っている。
ゆっくりと、少しずつ読んでいこうか、と思います。

  「おおきな木」       長田弘

 おおきな木をみると、立ちどまりたくなる。
芽ぶきのころのおおきな木の下が、きみは好
きだ。目をあげると、日の光りが淡い葉の一
枚一枚にとびちってひろがって、やがて雫の
ようにしたたってくるようにおもえる。夏に
は、おおきな木はおおきな影をつくる。影の
なかにはいってみあげると、周囲がふいに、
カーンと静まりかえるような気配にとらえら
れる。
 おおきな木の冬もいい。頬は冷たいが、空
気は澄んでいる。黙って、みあげる。黒く細
い木々が、懸命になって、空を掴もうとして
いる。けれども、灰色の空は、ゆっくりと旋
るようにうごいている。冷たい風がくるくる
と、こころのへりをまわって、駆けだしてゆ
く。おおきな木の下に、何があるだろう。何
もないのだ。何もないけれど、木のおおきさ
とおなじだけの沈黙がある。


いろんな情景が浮かぶけど、ずん、と残るのは「木のおおきさとおなじだけの沈黙」。
「懸命になって、空を掴もうとしている」のは…あれは、私の手であるかもしれない。
虚しく伸ばした手に絡みつくのは冷たい風。
それは「こころのへりをまわって、駆けだしてゆく」。

言葉が、届かない言葉が、木の下に落ちる。
それが、「沈黙」となる。
「木のおおきさとおなじだけの沈黙」となるまでに、どれほどの言葉が、届かずに落ちただろう?
…わからない。
わからないほど多くの言葉たち。

それでも、夏には葉を繁らし、木陰を作り、人を憩わせる。
…多くの沈黙を肥やしにして。
そんなことを想いました。

画像は、2017年5月8日の奈良公園・飛火野(とびひの)の「おおきな木」。
日立の「この木なんの木、気になる木」のコマーシャルに使われた、と聞きましたが、定かではありません。

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