昨日は、ゲシュタルト仲間のともこさんのお誘いを受けて、CAPの大人セミナーに参加するために、生駒市立中保育園に行きました。CAPとはChild Assault Preventionの略で、「子どもが暴力から自分を守るための教育プログラム」を意味します。1987年にアメリカ・オハイオ州コロンバスのレイプ救援センターから誕生しました。
1985年に日本に初めてCAPを導入した森田ゆりさんのことも、当時の新聞を読んで知っていました。「私の身体よ! 触らないで!」という具体的な言葉と共に記憶しています。でも当時は、教職に就いたばかり。仕事で手一杯で、関心を持ちながらそのままになっていました。今回お誘いを受けた時、ああ、時期が来たんだと心底思いました。
暴力に対応するのは4つの分野があって、それは「介入」「治療」「調査研究」「予防」で、CAPはそのうちの「予防」に位置する活動だということです。そして、CAPのプログラムとして、「大人ワークショップ」として120分、対象は保護者であったり教師であったりします。「子どもワークショップ」として「就学前のプログラム」「小学生のプログラム」「中学生・高校生のプログラム」が用意されています。「就学前のプログラム」は「保護者対象プログラム」とセットで行われているようです。
今日は
1 CAPとは
2 暴力について
3 CAPのアプローチ
4 子どもワークショップの一部体験
5 CAPプログラムの3つの柱
6 私たち大人にできること
というメニューで進められました。
印象に残ったのはまず、「CAPのアプローチ」。「〜してはダメよ」という禁止でなく、「〜に近づかないのよ」という回避でもなく、「〜以上はダメよ」という制限でもない子どもへのアプローチ。「知識を増やす」「無力感、依存心を減らす」「孤立を減らす」という、子どもの自尊感情を育てながら自立を促す働きかけであることです。
次に、「CAPプログラムの3つの柱」。3つの特別な権利として基本的人権を教え、それは「安心して生きる権利」「自信を持って生きる権利」「自由に選ぶ権利」だと、身振りを伴って示されていました。その権利が奪われそうになった時にどうするかについて、具体的な行動も示されていました。すなわち、「NO=いやという」「GO=その場を離れる(逃げる)」「TELL=信頼できる誰かに相談する」です。
さらには、子どもたちから相談されるためには、日頃からの関わりが大切であること、どういう関わりをしていればいいのか、それは、日頃から子どもの感情を受け止めるやりとりをすることを、具体的なワーク(自分が子どもの立場で困りごとを言った時に返される言葉でどう感じるか)を体験しながら理解していきました。
子どもが暴力的な行為を受けないよう予防するのに、子どもが無理なくできることをさせながら、一方で、暴力的な行為を受けた時にどう対応するかを学ぶというのは、両輪の輪だと思います。予防するのは大事ですが、予防だけで終わると、被害を受けた子どもに対応しきれないからです。被害を告げた子どもが更に傷つけられるという二次被害を起こさないためにも、必要なことだと思います。
セミナーが終わり、保育園を出ると、お迎えに来てもらった子どもがお母さんと歩きながら、「安心」「自信」「自由」と歌うように言っていて、ああ、子どもたちにちゃんと届いているんだ!と嬉しくなりました。川は危ないから、子どもに泳がせない、近づかせない、ではなく、「子どもに泳ぎを教えよう」というのは子どもがこれから先を生きていく自信につながると思います。いつまでも保護してもらわないと生きていけない子どもを作ることは、依存関係に陥ること。親はいつまでも生きてはいないのだから、自分がいなくても子どもが自信を持って生きていけるように…という願いをCAPの活動に感じました。