「初級講座B」の
第1講は、「終活」から始まりました。(有)キャリアプラン 代表取締役の大田晶子さんが講師です。特定社会保険労務士と、精神保険福祉士の資格をお持ちの方でした。
ご自身のご両親を見送られた経験をもとに、「就活とは何か」「公正証書とはどんなもので、どのように作成すればいいのか」「財産管理・整理の進め方」終末期医療への備えに必要なもの」という内容をお話しいただきました。
終活とは「『自分が死ぬまでのこと』と『自分が死んだ後のこと』の準備を意味します」とのことで、この言葉が広まったのは、2012(平成24)年に41歳で亡くなった流通ジャーナリストの金子哲雄さんが、「生前から自分の通夜や葬儀・告別式、墓の準備を決め、人生の最期を自分の望むように自分で準備して話題となったため」。(テキストからの引用)
大田さん独自の資料として、この金子哲雄さんの「相談していた医師への最後のメール」や、葬儀に用意された挨拶文など、その具体を知ることができました。(その他、大田さん独自の資料は、テキストに書かれていることの具体を示すもので構成されていて、内容を深めることができました。)
財産の管理については「整理することと、家族の共有の認識が必要」とのことでした。パソコン関連で、目に見えないものの整理にも注意を向けることを言われました。パソコンについては、平成15年から市町村回収からメーカー回収・リサイクルに変わったこと、パソコン以外の家電では、どのように定められているかの確認もありました。…この辺りのテキストの構成内容に、「非常に親切にできている」と感じました。…まあ、テキスト全編にその「親切心」が溢れているのですけれど、改めて感じた次第です。
テキストの終末期医療の項には愛知県半田市のホームページの「私の事前指示書」や日本尊厳死協会の「宣言書(リビング・ウィル)」そのものが載せられていて、さらにどのようにしてこの宣言書を登録するかまでを丁寧に説明されていて、感服しました。「ただし、医療現場では医師の判断も尊重されることから、実現されない場合もあります。」との但し書きも添えられていました。
大田さんの資料では、「尊厳死海外事情」として、カナダ・ケベック州の事例、カリフィルニア州の事例、台湾や韓国の事例まで挙げられていました。
第2講は「認知症あれこれ」と題する、寿指圧鍼灸院 院長の嘉内 寿(かない ひさし)さんのお話。脳の図を用意されて、ものの認識がどのように行われるか等の解説があり、「認知症とは、いったん獲得した知的能力(記憶・思考・判断)が脳の障がいにより持続的に低下し、物忘れなどによって、日常的に支障を来すようになった病的な状態」であるという定義に落とし込んで行かれました。(「障がい」という表示に、きちんと認識されているんだなあと感動しました。)
独自資料の中の「認知症を理解しましょう」の項に
◯ 認知症を病気として正しく理解する
◯ 認知症高齢者にも心の葛藤が有ることを理解する
◯ まず、認知症を知る事から適切な対応を学ぶ
とありました。この3項目が大切な事だと思います。
必ず見られる症状を「中核症状」と言い、主には「記憶障がい」と「見当識障がい」があるようです。記憶障がいのメカニズムを独自資料で説明されたのですが、これも非常にわかりやすかった。結局のところは、「自分が充実していた、輝いていた時代の記憶が根強く残る」とのことです。
過去に生きることで自分を守っているのでしょうか? …ということは、常に新しいことにチャレンジし、楽しんでいれば認知症にならないのかなあ?とふと思ってしまいました。でも、認知症の半分はアルツハイマー型だそうですから、脳の神経細胞の変性によって脳が萎縮するのですね。…いやいや、まだ私自身「病気」認識が足りないことが露呈しました。
周辺症状(すべての人に共通して現れず、個人差があるもの)として「もの盗られ妄想」の解説が非常に分かりやすかったです。「中核症状」として記憶障がいを起こし、大事なものをいつもと違う場所にしまい、その場所を忘れてしまいます。自立心が強い性格から「自分が忘れるわけはない」と思い、「息子が通帳を盗った」だの「妻が印鑑を隠した」だのという妄想に発展するのだというのです。ここで大事なことは、「憎いからではなくて、記憶に残っている人が、ふだんよく接している人」だからということなんだそうです。このことをわかっていると、疑われた子どもや配偶者、お嫁さんは救われますね。それにしても、こういうことは、普段から認知症の方と接しているから出てくる言葉だと感じ入りました。
長くなりすぎました。続きは次回に。画像はミリアムの台所から撮ったもの。