7月9日に行われた「シニアライフカウンセラー養成講座 中級B」は、「公的年金制度」「コミュニケーション力」「住宅売却時の税金」「遺言書」「高齢者の食卓と栄養」という5つの講義があったのですが、今回は「遺言書」について取り上げたいと思います。
遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の二つがあります。
「公正証書遺言」は平成28年度は105,350件で10年前の74,000件から大幅に増加しています。
10万件を超えたのは平成26年度からだそうで、その背後には相続税の改正があるようです。
「自筆証書遺言」のポイントは次の5点です。
1 全文を自筆すること…偽造・変造の恐れを少なくするため
2 日付を書くこと
3 名前を書くこと
4 押印があること
5 15歳以上であること
なお、注意事項として、訂正の場合、「①場所を指示し、②これを変更した旨を付記して特に③これに
署名し、且つ、④その変更の場所に印を押さなければ」効力がないことになるそうです。
具体的に言うと、本文に取り消し線を引き(①)、そこに押印し(④)、欄外に、3行目3時削除、4字加入(②)、甲野太郎(署名)(③)という流れになります。
「公正証書遺言」とは、「遺言者が証人立会いのもと、公証人の面前で遺言の内容を口授し、それに基づいて、公証人が遺言者の真意を正確に文章にまとめ、公正証書遺言として作成する遺言書のこと」です。
民法の969条には、次のように定められています。(公正証書遺言)
1 証人二人以上の立会いがあること
2 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口述すること
3 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること
4 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
5 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
民法974条には、次のように定められています。(証人及び立会人の欠格事由)
1 未成年者
2 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
3 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
民法969条の2には、次のように定められています。(公正証書遺言の方式の特例)
1 口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口述に代えなければならない。この場合における同条第三号の規定の適応については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
2 前条の遺言者は又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
3 公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。
「口がきけない者」が公正証書遺言をする場合があるのは想定できましたが、証人になることも認めていることに、私は少し驚きました。
もちろん民法も改正なってきているのでしょうけれど。
ハンディを持つ人が疎外されないで、そのハンディは何らかの形で補えば、それでいいじゃないか、というのは大切なことと思います。
自筆証書遺言は、少しでも不備があると無効になること、裁判所の「検認手続き」が必要であることから、「公正証書遺言」にする動きがあるのですね。
まあ、まだ、「遺言書」はいい気がします。
でもその前段階で、「エンディングノート」は考えたいです。
何度でも書き直しOKだし、これからを何を大事に生きていこうかという見直しになると思うからです。
画像は、車窓からの旭川周辺の眺め。