「お泊り酒盛り」でのミミさんとの話で、ちょっと心に残ったものを。
私たちのお付き合いは、私が22、ミリアムが23の時で。
…ということは、35年の付き合い? とふたりしてびっくりして。
「昔、節夫が、20年とか、30年とか、そんな昔からの付き合いのことを話したとき、おお〜と思って、私自身はピンとこなかったけど…。
でも、そんな歳になったね、私たちも。」
とミミさんが語り始めた。
「節夫と年が離れてるから、いずれ彼が先に…と思ったら、私、怖かった。
そしたら、彼、『ミミ、今を生きるんだ!』って言ったけど、その時は、何言ってるんだ、この人は! そりゃあ、自分は先に逝くんだからいいでしょうよ…と思ってた。」
「その時はわからなかった。でも、今はわかる。
先の心配をし始めるときりがないけど、でも、それは今を生きてない。
今を生きてるというのは…そうね、ネムをみて、可愛い!と思ったり、自転車で買い物に出るときに、家の前でお花に水をあげてる人が、その花をきれいね〜と思いながら世話しているのを見たとき、その人が本当に美しいと思う、その時。
…動物は、今しか生きてないからね。だから思い悩まない。」
「それでいいんだと思う。だから、そんなことが分かるようになった50代っていいと思わない? それから、多分60代も。」
「そうね。いろんな意味が分かり始めて、その上、まだ自分で動ける50代、60代、よね?」
「だから、私、節夫に悪いことした。分からなかったから、素直に聞けなかった。」
「…節夫さん、ミミさんが分からないのは年若いせいだと分かってたよ、きっと。
でも、いずれ分かる時が来ると思ってたんじゃない? だから、ギフトだったんだね。自分がいなくなった後のミミさんへの。」
「節夫さんは『種まき』をしておいてくれたんだね。…だから、節夫さんはミミさんの中でずっと生きてる。」
…そう、私の中でも節夫さんはずっと生きてる。
その時分からなくても、大事なことは、きっと心の中で何か引っかかりとなって残っている。
だから、伝えることが大事なんだね。
私も、子どもに伝えていくよ。今はわからなくても、いずれ、何か、気づくことがあるかもしれない。
そう、それが、少し先に生まれた者からのギフト(贈り物)。
…授業も、ね。そんなつもりで組み立ててきた。
何が正しいか、はわからないけど。
少なくとも、私自身が、世界はこんな風になっているのではないか、と思ったことを、今の時点ではここまでしかわからないけど、と。
私も、たくさんのギフトを、人から、書物から、受け取ってきたので。
「書く」ことも、ギフトになればいいな…と思ったことでした。
画像は、ミミさんの愛猫、ネムちゃん。