「水のこころ」 高田 敏子
水は つかめません
水は すくうのです
指をぴったりつけて
そおっと 大切に———
水は つかめません
水は つつむのです
二つの手の中に
そおっと 大切に———
水のこころ も
人のこころ も
(詩集『可愛い仲間たち』1975年刊)
定まった形のない水を扱うときには、
定まった形を持つ容器に入れるのが、
確実なんだけれど。
しかし、それでは「じかに」触れることはできない。
自分の手で直(じか)に触れようとすると、
「指をぴったりつけて/そおっと 大切に——」すくうしかない。
あるいは、
「二つの手の中に/そおっと 大切に——」つつむ、か。
そんな風に水の扱いを言いながら、最後の一行に
「人のこころ も」という言葉を持ってくる。
ああ、水の扱いを言いながら、
人の心の扱い方を言っていたのか!と、ちょっとびっくりする。
そうね。
人の心も形が定まらない。
扱いを間違うと、
両手の指の隙間から、こぼれ落ちてしまう。
「二つの手の中に」包み込むように大切に扱わないと、
いつの間にか見失ってしまう。
見失ってしまった心は、今度取り戻すのは、大変。
水のように、土に染みこんでしまっているかもしれない。
もう、もとの「心」だけでなく、何か余計なものがくっついてくるかもしれない。
まあ、でも、
土に染みこんだ水が、草木を潤すように、
何かに染みこんだ「心」は、
たとえ、いっとき汚れてしまったとしても、
何かを育んで、もっと豊かなものになって、
戻ってくるかもしれない。
と、そんな風に思います。
カウンセリングに来られる方の
辛い経験を聞きながら、
でも、その辛さは、きっと、何かを育む力になる、
そう感じながら、ゆっくりと、聞かせていただいています。
そう、本来のその方の輝きは、
その時には見えないかもしれないけれど、
自分を取り戻す過程で、だんだんと現れてくる。
その過程に付き合わせていただける喜びを感じながら、
今のお仕事をしています。
画像は、家の庭に咲いていた白い花。
だんだんと開いていくのが、カウンセリングが進んでいく過程のようです。
カウンセリングルーム 沙羅Sara
あなたはあなたのままで大丈夫。ひとりで悩みを抱え込まないで。
明けない夜はありません。
電話番号:090-7594-0428
所在地 : 生駒市元町2-4-20
営業時間:10:00〜19:00
定休日 :不定休