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副交感神経は2つ〜津田真人さんの講義「ポリヴェーガル理論とゲシュタルト療法ーからだ・こころ・社会ー」(1)〜<改訂版>

2020/01/16
副交感神経は2つ〜津田真人さんの講義「ポリヴェーガル理論とゲシュタルト療法ーからだ・こころ・社会ー」(1)〜<改訂版>
第2回全国ファシリテーター集会の3日目に、津田真人さんの講義があって。
先着35名というので、ちょっと早めに会場に着くように行きました。

…本当のことを言うと、こちらを受講するか、別なものにするか、迷ってたんだけど。
私は「ポリヴェーガル理論」なるものが、今、ホットなものだと知らなくて。
なんか…しち難しそうだ…と、もう少し「柔らかそうな」ものにしようか…と考えていたんです。
ですが、昨年12月の「ももちゃんフェルデン」で一緒だった人と、初日に再会し、
「ぜ〜たい、オススメよ〜」なんてアナウンスしてくれたものだから、俄然興味が湧いて。
…やっぱり、そのことに夢中な人から紹介されるのって、インパクトあります。
そして、本当に、とても面白くて、受講して大正解、でした。(リリーさん、ありがとう。)

津田真人さん。2019年6月に出版された『「ポリヴェーガル理論」を読む -からだ・こころ・社会-』の筆者。

さて。午前の部と午後の部で、それぞれ大部な資料が用意されていて。
午前の部(前半)は、「ポリヴェーガル理論とは何か?」。
午後の部(後半)は、「ポリヴェーガル理論とゲシュタルト療法を比較する」。

まずは、「ポリヴェーガル理論」提唱者、スティーヴン・ポージェス(1945ー )の紹介を資料から。
・もともと心臓の精神生理学(心拍変動と自律神経)の研究者。
・1994年、心臓を支配する副交感神経(迷走神経)に2種類あることを提起。「ポリヴェーガル理論」として、臨床の世界に大きなインパクトを与え、行動神経科学を標榜する。
・2011年 "Pilyvagal Theory"を出版。(邦訳はされていないようです)
・2017年 "The Pocket Guide to the  Pilyvagal Theory"を出版。邦訳『ポリヴェーガル理論入門』

妻のスー・カーターさんも研究者で、オキシトシン研究の第一人者だそうです。
オキシトシンとは、愛情ホルモンとか、幸せホルモンとか、呼ばれているものですよね。
その、オキシトシンが彼の研究に大きく関わってくる、ようで。

「ポリヴェーガル理論」は1994年に精神生理学会での「会長講演」として発表されたものが、出発点だそうです。
それは、1970〜80年代の前期近代の「ストレスの時代」から、90年代以降の「トラウマの時代」へと移行する、その時代の流れと共鳴するものだそうで。

「ストレスの時代」には交感神経による防衛が働き、「闘うか逃げるか」の反応が取り沙汰されていた。
それは、つまり「抑圧と抵抗」という反応。
それが「トラウマの時代」に入ると、「背側(はいそく)迷走神経複合体」による防衛がなされることが「発見」され、それは、「凍りつき」の反応で。
それは、つまり「解離と回避」という反応。

「ポリヴェーガル理論」の大きな柱のひとつは、この「背側迷走神経」。
自律神経のうちの、副交感神経についての新しい見解。

有機体は、からだとこころ(脳と身体)の双方向性で、刺激(S)が脳(中枢)に働くと心的な反応を起こし、身体(末梢)に働くと生理的な反応を起こす。
有機体内の、脳(中枢)ー身体(末梢)の媒介として自律神経は存在するが、その自律神経について、従来の「対抗的二元論」(=交感神経/副交感神経)ではなく、「階層的三元論」という立場を取る。

副交感神経の80%を占めるとされる迷走神経に、2種類あることを発見。(=「多重迷走神経理論」)
それは、「背側迷走神経」と「腹側(ふくそく)迷走神経」。

「背側迷走神経複合体(DVC)」が、「生の脅威」への反応として「凍りつき」反応を生み出し、「腹側迷走神経複合体(VVC)」が、「安全」への反応として「社会的コミュニケーション」反応を生み出す。
交感神経は、「危険」への反応として、「闘うか逃げるか」反応を生み出す。
このように、自律神経は三層構造を成している、というのです。

この三層構造を成す自律神経は、は虫類以前のものには見られない。
自律神経の進化の歴史を辿ることで発見された。


長く悩むと「凍りつく」状態になる。
この「凍りつき」は、「無力感の中でしんしんと耐える」状態で。
いじめによるトラウマは恥と孤独と無力感の中で出てくるもの。過労死は、凍りつきの中での心臓停止。
…というように、臨床の場でこれまでと異なった対応が必要となってきている。

息を吸った時、脈が少し速くなり、息を吐いた時、脈が少し遅くなる。心拍の差が出るのが健康な状態。
呼吸のリズムと心拍のリズムは関係し合っている。
これを「呼吸性洞性不整脈(RSA)」という。
(「洞」とは? と質問したら、心臓の中にある洞房結節のことで、心臓の天然のペースメーカーの働きをするもの、との説明がありました。ペースメーカーとして、もともと心拍のリズムを作っているところで、そこにさらに介入して、適度のレベルのリズムに調整しているそうです。)

機械で計ったような、揺らぎがないリズムは、「死」のリズムなんだそうです。
揺らぎの振幅が大きいほど、健康、だと。
つまり、人間の持つリズムは、機械と決定的に違うのだ、と。

「クライエントがどこにいるのか?」の見極めが必要。
寝入りばなや明け方に、ゴホゴホ咳き込みがある場合、背側迷走神経に入っている。

「社会的死」とは、「恥」「孤立」「無力感」。全部揃っているのが、いじめの被害者。

「凍りついている」人を、いかに「怒り」を持つ「闘うか逃げるか」に戻すか。
それには、「凍りつき」を「安全圏」で確認していく作業が必要。

ここから、トラウマ回復の2つの方途として、交感神経が働く「可動化システム」が使えるなら「安全・安心」を加えた「あそび」から、「背側迷走神経複合体(DVC)」が働く「不動システム」に陥っているなら、「安心・安全」を加えた「愛」から始めるしかない、ということをとてもわかりやすい図で示していただきました。
「あそび」と「愛」と、どちらも使えることが大事と。

トラウマには2種類あって。
1つは「ショック性トラウマ」。1回限りで強烈なショックを受けるもの。
もう1つは「発達性トラウマ」。「複雑性トラウマ」ともいう。生育上、繰りかえし日常化して生じたトラウマ。
この2つは、「未完了」になっているものが違い、後者は安心・安全が未完了。だから、難しい。交感神経が問題ではなく、「持ち続けている」のが、問題(=不適応)。

「ポリヴェーガル理論」の臨床応用への視座から、「セラピーの目的」として、
 ① 世界と柔軟に関与できる経験を持てること(腹側迷走神経複合体システム)
 ② 他者と共にいても恐怖なしに不動化できること(腹側迷走神経複合体システム+背側迷走神経複合体システム)
 ③ 闘うか逃げるかでなしに自由に可動化できること(腹側迷走神経複合体システム+交感神経系)
 の3つの実現

が考えられる。
しかし、そういったセラピーの目的は、セラピスト側が決めるものなのか? という疑念をお持ちであることは資料にも記載されていて、その問題は、午後からの講義で展開されます。

9時半〜13時まで、あっという間に過ぎました。

画像は、お昼を取った、会場の国立オリンピック記念青少年総合センター近くのカレー屋さん。
…すごぶる辛かった。

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