広島のマンションを引き払って奈良に帰るとき、母からは「とにかく、モノは持って帰らないで」「タンスは捨てて帰ってね」などときつく御達しがあって、本も段ボール箱に10箱は古本市場に引き取ってもらい(でも大半は捨てられず…)、一揃いのタンスと食器棚と、ローランドの電子ピアノは友人に貰ってもらい、絵画類も大方貰ってもらい、本箱は全て捨て、…衣服もかなり捨て、買ってまだ1年ぐらいしか経ってなかったベッドと、マルニの一枚板のダイニングテーブルは「勘弁して」と言って引っ越しの荷物としたのでした。…あと、半分に減らした食器と。それから、お気に入りのミュシャのリトグラフ2枚と。
渋い顔の母が、殊の外喜んだのはAIお掃除ロボットのルンバでした。
「ルンバさん、早起きやなあ。もう掃除してはるわ」
いやいや、そういう風にタイマーセットしたの私なんだけど、と思いつつ「ルンバさん」に引っかかり、「なんで、ルンバに『さん』をつけるの?」と聞くと、逆に戸惑ったように「なんでて…ちゃんとお掃除してくれはるやん」と敬語続き。「働きもんには、そういう風に丁寧に言わんと。」ということだそうです。
「あんたのま〜るく掃除するのとちごて、隅々まで掃除しはるの、私大好き。」とのこと。はあ、そうですか。「ちゃんと、玄関先では止まらはるし。」
いやいや、だから、ウォール設定したの私なんだって!
…という話をゲシュタルト仲間のともこさんにしたら、「ちょっとルンバの設定変えて、お休みの日も作ったら? それでお母さんが『なんで?』と聞かれたら、『ルンバも休みが欲しいんじゃないの?』と言ってみたら」…だそうです。うん、それもいいかな、と思ってしまった。
母の頭の中ではブラックボックスなんだろなあ…と思いながら、私もSNSとか全然ついていけてないことを思い出し、「ま、似たようなものか」と思ってしまった。ラインデビューも子どもに教えて貰って最近のことだし。スタンプあんまり上手に使えないし。子どものスタンプに「これ、どういう意味?」と尋ねて「フィーリングっすよ」というスタンプを返される始末。
将来、杏樹(アンジー)が私より先に死んだら(多分、そうなると思うけど)、私、介護型AIロボットと暮らしていると思う、と発言すると、皆さんの反応はまちまちでした。「AIはどこまでいってもAIよ…!」と言われたので、「でもまあ、学習してくれて、私の好みを理解してくれるなんて、癒されると思うけどなあ」と私。子どもに「関西で就職して!」と言うよりいいと思うんだけど。できるだけ縛りたくない、という気持ちが強いんだけど、そのためには元気で生きていかなきゃね。