昨日は「一般社団法人 なら人材育成協会」主催の「不登校・ひきこもり親子セミナー」に参加しました。画像は、お話しくださった臨床心理士の中東照幸さんが提示された、パワーポイントの一枚です。「子どもと親の境界線」と題された、「すれ違いタイプ」と「混じり合いタイプ」。ありがちな親子関係です。そして、このいずれの状態も、親子関係がうまくいきません。
「すれ違いタイプ」では、子どもが親から見放されたように感じます。
「混じり合いタイプ」では、子どもは自分が何を望んでいるのかわからないままだし、親は子どものためと思いながら自分の考えを押しつけていたり、子どもに決めさせなければならないところにまで踏み込んでしまって、子どもの「自己決定」を奪います。子どもの自己決定を奪ってはならないのは、うまくいかなかったときに「母さんがそうしろと言ったから…」と逃げ場を作ってしまうからです。
逃げ場が必要なときは、もちろんあります。しかし、こういう「逃げ場」を作ってしまうと自分の人生に責任を持たず、悪いことは全部人のせいにするようになります。その状態は、本人にとって楽なようでいて、ある意味、不幸です。それは、自分の人生に対する責任は誰も取ってくれないことに、いずれ気づかざるを得ないからです。当たり前といえば当たり前のことですけど。そのことに気づくのに遅くなるだけ、不幸だと私は思うのです。
フリートークの時間、「なら人材育成協会」のスタッフとして関わっている大学生の人たちを前に、「私が今、関心あるのは、不登校やひきこもりを経験した子どもたちが、立ち直ったとして、その先どういう支援が必要なのか、ということ。やはり、そういう経験をせざるを得なかったのは、何かこう、人間関係の作り方がうまくなかったり、自分の感情をうまく処理できなかったり、ということがあるように思えて。今まさに自分自身の問題として、我が子の今後を考えるのに、何が必要か、何をしてはいけないのか、手探り状態だから。」という話をしました。皆、不登校やひきこもり経験のある人たちでしたので、うんうんと頷いてくれました。
さっきの図で言えば、二つの円は離れていても交わっていてもいけないのですね。ちょうど一点で接しているような状態が望ましいわけなんですが、なかなかその状態を作るのが難しい…。
子どもが不登校になったり引きこもったりすると、つい「私の子育ての失敗?」とお母さんたちは思ってしまいがちです。けれど、誰でしたっけ?(エジソンは「失敗は成功の母」という言葉で有名ですが)、「私には失敗というものがない。なぜなら、あきらめない限り、次へのステップだから。」という言葉。そうです。あきらめなければ、「失敗」ではないのです。まだ「途上」だということです。そして、母はあきらめるわけにはいかないのです。10ヶ月間自分のお腹で育て、そして、お乳をやり、おしめを替え、育ててきたんですから。言葉をかけ、微笑んであやし、抱っこしてきたんですから。頭では別人格と分かっていても、どこかまだ「へその緒」がつながっている。子どもが怪我すると自分の身体が、心が、痛む。どうしようもないです。どうしようもない。そう感じてしまうのですから。
だからこそ、「混じり合い」になって、子どもを呑み込んではいけないのです。
私もまだ子育ての途上です。あまり偉そうなことは言えません。でも、幼児、小中高校生のお母さんたちより少し先輩です。その分、分かることもあります。だから何でも相談してくださいな。一緒に子育て(そして、お母さん自身の「自分育て」)をしていきましょう。