「生まれてから今までの人生で、撮り貯めた写真やアルバムと筆記用具を持参するように」とのことで始まった、アルバムセラピー。昨日の午後、「日本アルバムセラピー協会」によるセミナーに参加しました。参加者5名。インストラクターは代表理事の林さゆりさん(なんと直々に!)。ステップごとの課題に取り組みながら、一定時間後にはみんなにシェアします。一巡したら、ひとりの人にシェアの感想を言ってもらいます。
用意された「基礎セミナーテキストブック」に従って、「Step1 生まれたての赤ちゃんの時の写真」。参加者の写真は皆モノクロ写真でした(時代を感じさせます)。写真を貼るスペースの右側には、2つの記入項目欄があって、ひとつは「その時のお父さん、お母さんの気持ちはどんなものだったのだろう?」でした。もうひとつは「あなた自身の思うことを書いてみてください。」
屈託なく笑っている私。こんな笑顔を見ていたら、父も母も幸せ気分だったろうなあと思われました。でも、そもそも赤ちゃんの私が笑っていられたのは、私が笑いかけてもらったから。…なんだと気づきました。
「Step2 幼少期(小学校3年生くらいまで)の一番思い出深い写真を探して見てください」。右側の記入項目欄には「小学校の時の得意だったことは?」と「宝物は…?」。
ふう〜っと、時間を遡って、私は小学生の頃に戻っていました。その時の家の雰囲気。部屋の様子。…私の好きなことは何だったっけ? 私は幼稚園の時、尿にタンパクが下りて、腎臓病ということで、5歳の時、走ることと醤油ダメと言われた…。それで外で遊ばせてもらえなくて、片っ端から絵本を読んでた。絵本だけじゃ飽き足らずに2歳上の従姉の教科書も読んでいた、らしい。…そうそう、4年生では、毎月届く「世界文学全集」が何よりの楽しみだった。
「Step3 自分の『大好き』を見つけよう!」。サブタイトルに「とびっきりの笑顔の写真を探して貼ってみましょう」とあります。とびっきりの笑顔。…ということは、楽しかった時の写真ですね。それはいつ頃のことなのか、何をしていた時なのか、誰と一緒にいたのか、その時のシチュエーションがリアルに蘇ります。右側の記入欄には「その写真を見て出てくる感情を書き出して見てください」とあります。「出てくる感情」…直球です。
20代の写真。結婚する前。夢と希望に溢れてた、わけではなく、何が、ということなく不安で、自分で自分を持て余してた。私は自分に自信が持てなかった。私は自分が嫌いだった。…ホント、私は「若い時」に戻りたいとは思いません。今の方が気持ちが穏やかです。
「Step4 自分の『大嫌い』を探してみよう!」。サブタイトルは「今度は大嫌いな写真・見たくも無い写真を探してみましょう」でした。…これはちょっと困りましたね。急いで用意して持参した写真は、やっぱりまあまあお気に入りのものばかりでしたから。右側の記入欄には「その写真を見て出てくる感情を出してみてください」でした。「手元にない場合は、想像してきてもらってもいいですよ」とのことで、いつの頃の写真が嫌いかなあと思い出しながら取り組みました。
私は中学生の頃を思い出して、、周りのみんなと合わさなければいけなくて苦しかったことを記入しました。けれど、他の人の発表を聞いていると、「あ、私も職場の集合写真が嫌いだ」と気づきました。私の中学時代と同じで、同調の圧力を感じた学校社会。…そうなんだ、中学時代と同じだったから息苦しかったんだ、と気づきました。
みんなのシェアを聞いて感想を言う番だったので、次のような感想をシェアしました。
「私もなんだかやりにくいなあと思いながら取り組んだのですが、みんなそれぞれ『嫌だった』のは自分が納得できないことを無理矢理やらされている時のものでした。でも、それがあったからこそ、その状況をなんとかしたいと動き出して『今』がある、ということがわかりました」
最後のステップ、「Step5 一番『思い出深い写真』を探してみよう!」。サブタイトルは「強烈に心に残っていること、自分の人生に大きく影響を与えた人、大切な人と一緒の写真、子供の頃の深く傷ついた写真、忘れられない出来事、人生の転機など転機など…そんな写真を探してみましょう」。右側の記入欄は「湧いてくる自分の感情を書き出してみてください」。
自分の人生に大きく影響を与えて人は何人がいるけど、私は子どもの写真を選びました。2歳ぐらいの時の。生まれてきて、こんなに可愛いのか、と思いました。すごく活発な子だった。好奇心旺盛で。聞き分けも良かった。…後年、おこもりして、本当に心配したけど、それもいい思い出。教員としても、母としても、鍛えて貰った、と思います。
可愛くて可愛くて…だけど、私は親に束縛されて苦しかったから、同じ過ちは繰り返したくないと思っていた。…今から思うと、ちょっと気負いすぎだったかな…。もう少し、ゆったりと接してあげればよかった。そうしたらこの子が生来持っているエネルギーは、もっと伸びやかにこの子を育ててくれたような気がする…。今は、何か、エネルギーの行きどころがなくて、自分の中で、滞っている気がする。…でもまあ、そんな時期も必要か…。
面白いですね。昨日のセミナー3時間で湧き起こった気持ち以外に、今、湧いて出た気持ちもあります。
写真を見ることは、過去を見ているようで、「現在の自分がその時をどう見ているか」ということだから、「現在の自分」がクローズアップされてくるのですね。ふう〜ん…そういうことか。
「写真をここに持ってくる過程で、アルバムを見ていた時から、もう始まっているのです」とインストラクターの林さんに言われました。…そうですね、確かに。そして、セミナー後も影響は続くのですね。
単に「撮りためた写真を持参するように」とのことでしたが、5つの項目の概略を予め示して、それに合う写真を何枚かずつ持ってきてもらう、というのもいいかもしれません。展開が予測できて面白味に欠けるという危惧があるから、何の指示も出されなかったのでしょうけれど、でも、候補を何枚かずつ、とすれば、その場で最終的に何を選ぶかで自分のこだわりが一層見える気がします。
「この作業を通じて生まれる気持ちは『感謝』ではないでしょうか? 参加者の半数は泣かれます。」とのことでした。…そうですね。一緒に写っている家族の若い姿に、様々な思いがよぎります。私はひとりではなかったんだ…こんなにも愛されていた…など。家族と何かの事情で断絶している人の心を癒したり、自分史を残したい人に取り掛かりやすいツールなのではないかと思います。インストラクターコースを考えたいと思いました。
画像は「Step3」での私の写真。