谷川俊太郎の有名な絵本『これは のみの ぴこ』を紹介します。
サンリードから1979年に出た絵本です。
私が持っているのは1988年の第12刷。
何で有名かというと、日本語の助詞のひとつである「の」を用いて、こんなふうにどんどん繋げていけますよ、を示したものだからです。
私も確か…大学の「国語学」の授業で、…「国語学」というのは、日本語の特性を語学的に研究する分野なのですが、その授業で紹介された記憶があります。
さて、始まりは「これは のみの ぴこ」です。

のみに名前が付いている! とちょっとびっくりするのですが。
この、のみが主人公か、と思うと違います。

「これは のみの ぴこの/すんでいる ねこの ごえもん」
と、話題は「ねこのごえもん」に移ります。

「これは のみの ぴこの
すんでいる ねこの ごえもんの
しっぽ ふんずけた あきらくん」
と、また、話題が「あきらくん」に移っていくのです。
こんなふうに、どんどん話が移っていって…最後は、

「これは のみの ぴこの
すんでいる ねこの ごえもんの
しっぽ ふんずけた あきらくんの
まんが よんでる おかあさんが
おだんごを かう おだんごやさんに
おかねを かした ぎんこうにんと
ぴんぽんを する おすもうさんが
あこがれている かしゅの
おうむを ぬすんだ どろぼうに
とまと ぶつけた やおやさんが
せんきょで えらんだ しちょうさんの
いれば つくった はいしゃさんの
ほるんの せんせいの
かおを ひっかいた ねこの しゃるるの
せなかに すんでいる のみのぷち」
で終わります。
お相撲さんや泥棒や市長さんやが出てくるバライティー豊かな広がりと、人はどこでどんなふうにつながっているのかわからない、という面白さと。
それから最後は「のみのぷち」で終わるこだわりと。
「のみのぴこ」と「のみのぷち」のつながりはよくわかりませんが、まあ「のみ」つながりなんでしょうね。
あ、今気づいたのですが、絵本の表紙を広げてみると…こんなふうになっていました。

前と後ろがつながっていることをこんなふうにも表現していたのですね!
なかなか奥が深い!