9月22日夜の「SONGSスペシャル」で、音楽活動を休止してから6年ぶりに登場した宇多田ヒカルを観ていて、ずいぶん雰囲気が変わったなあという印象を持ちました。
糸井重里との対談形式で番組は進んでいったのですが、その中で糸井が宇多田ヒカルの声を「響いてくる楽器としては、人を切なくさせる」「この人は、この淋しさを伝えるためにこの世に生まれてきたんじゃないかと思えた」と言っているのを聞き、そうか…私も彼女の歌に感じてきたものは「切なさ」だったんだと思い当たりました。
それは「生き辛さ」、と言い換えてもいいものですが。
その彼女が6年の休止を経て、今年一番に発表したのが、NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」の主題歌「花束を君に」だったのです。
スタジオで歌うのは初めて、という触れ込みでした。
朝ドラの主題歌として聞いていた時にも、なんか歌い方が変わったなあと思っていたら、彼女自身、「苦しくない歌い方に変わった」という表現をしていました。
3年前に亡くなった母、藤圭子を想って出来た歌だということですが、通しで曲を聴いた感想は、朝ドラで流れている冒頭部分より、あとの方が断然いい、ということです。
切ないのは切ないのだけれど、なんというか…閉じられた、行き場のない淋しさではなく、どうしようもないことをそれと認めて、そこに在り続ける強さみたいなものを感じました。
「今は伝わらなくても/真実には変わりないさ」のフレーズなどに。
それに続く「抱きしめてよ たった一度/さよならの前に」には、ふと涙が込み上げてきました。
彼女は、赤ん坊を育てることは、自分の根幹を為しながら記憶がなくて空白となっている、自分の原初の時間を埋めていくことに繋がったと言います。子どもに関わりながら「自分もこんな風だったのかな…?」と思いながら。
私は、彼女のように母を「原点」と思う感覚は持てないけれど、彼女の言葉には、はっとするものがありました。
そうか…そうだったね…。
私も子どもを育てながら、同時に、父や母が私に抱いた感情を、どこかで追体験するような気がしてた…。
子どもが大学生になり、「子育て」も一段落したと思った途端、杏樹(アンジー)を迎えたのも、どこかでもう子どもの背中を追いかけてはいけないと思ったからではなかったか…。
仔犬の杏樹を、つい子どもの名前で呼んでしまって、ひとり苦笑してた、そんなあれこれを思い出したことでした。
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