11月6日。
神戸・西元町にボイスアート・セッションを受けに行ったお昼。
近くの野菜食堂・堀江座で出会ったWAKKUN。
涌嶋克己さんとおっしゃるその方は、小学校に入学して間もなく「涌嶋くん」と言えない同級生が、「わっくん」と言ったその日からWAKKUNになったのだと、名乗りの由来を教えてくださいました。
絵を描いていらっしゃるそうで。
3人展のご案内をいただいたのですが、え、墨で描かれるのですね…と言ったら、堀江座に置いてある絵本を見せてくださって。
それが、この『てがみ』。
今年八十才になるお春ばあさん、が主人公。
人生の節目節目に「せいぞう」さんから手紙が届く。
はじめて手紙をもらったのは、十五の時。
父親が病気で死んだ時。
その次が十七の時。
弟が遠い所へ年季奉公に行ってしまった翌朝。
三度目が十八の春。
嫁に行く三日前。
その時に、でかい虹の絵とともに手紙が届く。
わあーっと思いました。
墨で虹を描くなんて…!
…だけど、墨絵の虹に、色が見える!
それからも、お春の人生の節目節目に、手紙が届くのですけれど…
最後は、今年八十三才で亡くなった「せいぞう」さんに、
お春ばあさんが、生まれて初めて書いた手紙。
結末は、読んでのお楽しみ。
「あとがき」を読むと、作者のおばあさんの「新聞読んで」という言葉から生まれたことが書いてありました。
おばあさんは貧しくて学校に通えなくて、字が読めなかった。
少し、「あとがき」を引用します。
《今より少し前の時代。
貧しく、つつましい生活をしていた祖母たち田舎の人々は、人を好きになって、大切な人に自分の想いをちゃんと伝えられただろうか?
そして、もし、ひらがなでも書くことができたとして、一体どんな「てがみ」を書いたのだろう?
そんな気持ちがボクにひとつの物語をつくらせたのだった。》
ああ、素敵だなあ、と思って、つい買い求めました。
そしたら、WAKKUNが、「ふわっとゆこね」という言葉とともに、空飛ぶWAKKUNを描いてくれました。
…そうですね。ふわっと、がいいですね。