2014年に父が亡くなり、「ひとりでは、よう暮らさん」と言ってきた母と2016年春から一緒に暮らし始めた。
2018年秋には、東京に研修に出ていた私に「早う、帰ってきて」と電話が入るようになり、
そのうち、「泊を伴う研修に行くのは、私が死んでからにして」と言い出し、
「カゴの鳥」状態を感じて、なんでこんなことになってしまった? としんどくなった。
2019年秋、私は遂にワンルームを借りて、母のすぐ近く、そう歩いて5分、のところに暮らし始めた。
…もうすぐ、かれこれ1年、になる。
「まあ、試しに、1ヶ月、別々に暮らしたら?」
8月末に、お盆休みで帰ってきた子どもの一言がきっかけだった。
ああ、そうなんだ!
居心地が悪くて、こんなにしんどい思いをするなら、「別に暮らす」選択をしてもいいんだ…!
すぐさま、ワンコが飼える部屋を探した。
…実のところ、私には「飼う」って感覚、あまりないの。
アンジーは私の2番目の子どもだから。
まあ、世間的には、「ペット」なんだけど。
私にとっては…毛むくじゃらの我が子。
ちゃんと、ね。意思表示もするし、ね。
お返事も大丈夫だし、…いろんなことをおしゃべりする。
私がちょっと擦り傷をしたり、ちょっと気が滅入ってたりすると、おもむろに私の手足を舐めにくる。
敏感に、私の気持ちを感じとる。
「大丈夫だよ、ママ」ペロッと舐めては、私の顔を見る。「大丈夫。」
「ありがと、アンジー。もういいよ。」
そう言わないと、いつまでも舐め続ける。
母にとっても、一人暮らしとなったこの10ヶ月。
最初は淋しいとばかり言っていたけど。
…まあ、できるだけ、晩ご飯は一緒に取るのだけれど。
昨日の夜は、晩ご飯を一緒に取って帰った私に電話があって。
母の部屋のエアコンの調子が良くないことは、聞いていて。
購入先の家電量販店に電話したら、明日、メーカーの方から人が見にくることになったようで。
母は嫌がったけれど、できるだけ自分でできることは自分でやってもらうようにしている。
家電量販店への電話連絡も「どういう風に言ったらいいか、わからんわ」と言うので、
「先に紙に書いて、整理してから電話するといいよ。」と言うだけ。
そうでないと、今できることもできなくなっていく、のを感じたから。
自分でやったほうが早いけど、そうすると、母はどんどん依存的になっていく。
「できない、じゃなくて、やってみるのよ。」そう言って励ます。
エアコンから聞こえる、何か水がポタポタ落ちる音、を明日説明したいけど、
うまい具合に、メーカーの人が来ている時に、その音がしたらいいけど、そう言ってた。
私が帰ったあと、スマホで録音しておくことを思いついたのだそうな。
「でね、ちゃんと録音できたんよ!」
母の興奮気味の声が響く。「明日、もし、その時にポタポタの音がしなくても、これを聞いてもらったら良いから。」
以前、美空ひばりのテープをスマホに録音する方法を教えてあげて、それを思い出して出来たのが、よほど嬉しいらしい。
「私、できたんよ。」何度も何度も、そう繰り返す。
「ああ、よかったね。」
そうね。幾つになっても、自分でできるって嬉しいものね。
歩いて5分のキョリは、私と母にいい距離、です。
画像は、昨日の朝、5時半からのアンジーとの散歩で撮った立葵。
アンジー、今朝もそろそろ行こうか? アスファルトが焼けないうちに。