昨日は残り2回となったナード・ジャパン認定校「メディカアロマ」の「アロマ・アドバイザーコース」の講義でした。「精油の調香〜オリジナルの自然香水で素敵に香る〜」がテーマで、まず、「嗅覚の仕組み」を理解することから始まりました。
芳香分子(におい物質)が鼻腔(びくう=鼻の奥の空間)に入り、薄い粘膜層に溶け込み、嗅細胞(きゅうさいぼう)に刺激を与えて大脳辺縁系の扁桃核(へんとうかく)に届きます。大脳辺縁系は大脳の内側に古くからあるもので、食欲や性欲などの本能をつかさどります。
五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)は、大脳新皮質(=大脳の外表面を覆っている、発生学的に新しい部分。知能や思考など知的・理性的な機能を担う)で認識されますが、唯一嗅覚だけがダイレクトに本能を司る大脳辺縁系にも伝達され、本能的反応を起こすというのです。
うんうん…そうだったなあ…確か…と思い出したのは、古典の授業で扱った和歌でした。
五月待つ 花橘の香をかげば 昔の人の袖の香ぞする (古今和歌集 巻3 夏 読み人知らず)
これは『伊勢物語』の第60段「花橘」にも出てくる歌です。「五月を待って咲く橘の花の香りを嗅げば、昔の恋人が袖に薫きしめていた香りだったと思い出されることだよ」ぐらいの意味でしょうか。
香りが一瞬にして懐かしい思い出を蘇らせ、今ここに、その人がいるかのような、その人との時間のあれこれまでまざまざと思い出されるのは、確かに「本能に働きかけ」ているからなのでしょう。
というようなことを考えているうち、講義は「香りの基礎知識」へと移り、「香りの相性の良い精油」ということで、精油は7つのグループに分けられ、そのグループ内、または隣のグループの精油のブレントは良く合うとのことでした。
7つのグループとは「花の精油」「柑橘系の精油」「ハーブ系の精油」「樹木類の精油」「スパイス系の精油」「樹脂類の精油」「オリエンタルな精油」です。相性が良いのは、たとえば「花の精油」グループは「柑橘系の精油」「オリエンタルな精油」グループということになります。
次に「香りの揮発性」(=ノート)について学びました。香りの揮発性とは、香りの持続性のことです。
「トップノート」は早くて、長くても2時間程度、「ミドルノート」は2〜4時間程度、「ベースノート」は6時間以上持ちます。香水を作るときには、この時間差で香りを変えて楽しむことをします。
「アコード」という用語も新しく知りました。「調和」という意味で2つ以上の香りをブレンドして、快い香りを生み出せたとき「アコードが良い」と表現するそうです。調香には、このように「音楽用語」がよく用いられるそうです。
それにしても、調香練習はとても贅沢なものだということを知りました。アコードを取って、どのブレンドが良いかを知るのに、たとえば2種類の精油を「9:1」「8:2」「7:3」…「1:9」まで9種類を作ってみて、調和がとれていると感じたところが自分のアコードだというのです。ということは、一箇所(もしくは二箇所)のアコードを知るために、残り8種類を捨てることになります。…「9滴:1滴」としていっても、全部で90滴必要になります。200滴で10mlですから、1本の精油のほぼ半分ずつを使うことになります。精油は安いものでも2000円以上しますから、う〜ん、贅沢!
調香師となると、そうしてアコードを取ったものに、また3種目でのアコードを取る…というようにして数種類のアコードを取っていくそうです。…すごい贅沢!
という講義の最後に自分でオリジナルのオードトワレ(賦香率が5〜10%で、持続時間が3〜4時間のもの)を作ることになりました。キャ! 嬉しい。みんなでワイワイいいながら、楽しんで作りました。
私は爽やか系で「樹木類の精油」を「ミドルノート」に置くことにしました。「トップノート」にはお隣の「ハーブ系の精油」からレモングラス、「ベースノート」にはパチュリーを置きました。
全量10mlで10%となると、精油は20滴になるのですが、パチュリー2滴、サイプレス8滴、レモングラス10滴でブレンドすると、レモングラスが勝ってしまって、ミドルノートのサイプレスがなかなか立ち上がらないことになってしまいました。…思い切りの良いのは、こんなとき、とても困ります。ブレンドしてしまうと、元には戻せないので。
それで、同じ樹木類のジュニパー(トップノート)を2滴加え、レモングラスの香りをマイルドに抑えました。それに、希釈するものとして、無水エタノールでもよかったのですが、アルコール臭が1ヶ月経たないと抜けないそうで、それは嫌だったのでファーナスオイル(9ml)で希釈しました。偶然ですが、アコードの良いものができました。