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感じることが自分を知る手がかり〜中原中也の詩「湖上」〜

2017/09/04
感じることが自分を知る手がかり〜中原中也の詩「湖上」〜
朝夕がずいぶん涼しくなりました。
夜見上げるお月さまもだんだんまあるくなってきています。…もうすぐ満月、でしょうか。
ぽかんと浮かんだ、まあるい満月も、天高く煌々(こうこう)とした光を放つ満月も好きなのですが、私は新月も三日月にも心魅かれます。
新月には、その鋭さに。
三日月には…そうですね、千家元麿の詩に「神さまの角(つの)のような…」という表現があったな…と遠い昔の記憶が蘇ります。

今回は中原中也の「湖上」という詩を。「読書への誘い」第52号で紹介したものです。

       「湖上」 中原中也

 

ポツカリ月が出ましたら、

舟を浮(うか)べて出掛けませう。

波はヒタヒタ打つでせう、

風も少しはあるでせう。

 

沖に出たらば暗いでせう、

櫂(かい)から滴垂(したた)る水の音は

昵懇(ちか)しいものに聞こえませう、

——あなたの言葉の杜切(とぎ)れ間を。

 

月は聴き耳立てるでせう、

すこしは降りても来るでせう、

われら接唇(くちづけ)する時に

月は頭上にあるでせう。

 

あなたはなほも、語るでせう、

よしないことや拗言(すねごと)や、

洩(も)らさず私は聴くでせう、

———けれど漕(こ)ぐ手はやめないで。

 

ポツカリ月が出ましたら、

舟を浮べて出掛けませう、

波はヒタヒタ打つでせう、

風も少しはあるでせう。

      (詩集『在りし日の歌』1938年刊)

 

「ポツカリ」出る月って、やっぱり満月でしょうね。

波もなく、風もなく。

まだ夕暮れのときに沖へ出て、やがて月は頭上にある。…時間の経過とともに、辺りの暗さが増してきたのでしょうか?

私とあなたしかおらず。

そして聞こえるのは「櫂から滴垂る水の音」だけ。…あなたの声以外は。

 

穏やかな、ふたりだけの世界。

 

ちゃぽんという音、微かにギギーと櫂が櫓(ろ)に擦れて軋む音まで聞こえてきます。

 

こんな穏やかな時間。

話される内容も、何でもいいのでしょうね。ただ、あなたの声であれば。

 

…と、ここまで来て、ふいに「あなた」の姿が見えなくなりました。

もしかして、二人して出掛けたのではなくて、…ひとりだった?

ひとりで月と語り合っていた? …あなたの声は頭の中で響いているだけだった?

…わからない。限りなく、孤独であるかもしれない。

 

いったい、どちらが本当なんだろう?

 

いえ、両方かもしれない。裏と表。

自分の心の在りようによって、見える世界は変わる。

軸足をどちらに置くか、で。

 

何を感じるかは、あなたの今の状態を如実に表します。

だから、「感じる」ことが自分を知る手がかりとなるのでしょう。


画像は2005年のベニマンサク。広島大野自然観察の森で。9月にはハート型の葉が色づいていました。

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