童話屋という書店が出している詩文庫シリーズが何冊かあります。
これは編者である田中和雄さんが、ひとりの詩人の作品を、独自に選んだものです。
これまでにも、多くの詩を紹介してきましたが、今日は、詩人が詩ってなんだろう? に応えている詩を選びました。
川崎洋の詩集『ほほえみにはほほえみ』(1998年刊)から、詩について、詩人川崎洋がどんな風に考えているのかを、紹介したいと思います。
「詩は たぶん」 川崎 洋
詩は たぶん
弱者の味方
ためらう心のささえ
屈折した思いの出口
不完全な存在である人間に
やさしくうなずくもの
たぶん
これだけの短い詩なのですが、詩という存在が、どんな風に人に関わってくれるかを十分言い表してくれているように思います。
人間誰しも強くありたくて、そうして、精一杯頑張るのですけれど、何かの折にふと、自分の弱さが見えたりする。
絶対!とか、きっと!と断言することも、場合によってあるかもしれないけれど、ふと、そうばかりでもないよなあ…なんて、言いよどむ気持ちが辺りにたゆたう。
…歳を重ねれば、「絶対」なんてそうたびたびお目にかかれない、とそう思う。
そうした人間の弱さ、不完全さを認め、受け入れ、許し、「やさしくうなずくもの」なのだという。
…それも、「たぶん」。
断言はしない。…たぶん、たぶん。
「そうなんだろう?」って、「身内」である詩に問いかけているような、そんな響きを、この言葉に感じます。
そうやって、川崎洋は、詩と二人三脚でやってきたんだろうか?
読者は、その二人三脚がふと自分に寄り添ってくれているのを感じる。
ああ、そうそう!そういうことね!と、形になって、たまらなく嬉しくなったりする。
カウンセリングも、ね。そんな風にクライエントさんに寄り添いたいと思っています。
画像は、夕方の杏樹(アンジー)の散歩で見つけたお庭。