一昨日は、今年の二人のお誕生日会を「みりあむ」でしました。
…つまりは、「お泊まり酒盛り」。
私は4月末で、ミミさんは5月初めなので、私が奈良に帰ってきてから二人のお誕生日会をすることにしたのです。
昨年は、新しく出来たレストランに予約して行ったけど、今年は「みりあむ」で。
彼女のお母さんと叔母さんがこの春フランスから来られて、それで美味しいフォアグラと、きのこがあるよ!ということで。
リクエストされたホタテの貝柱と、人からいただいたシャブリと、それからその日のアンジーとの散歩で見つけた「四つ葉のグローバー」を持って、夜、お店が終わる頃に行きました。
お店に入ると、ちょうど7時を告げる時計の音がして。
あ、と思えば、ミミさんが「そうなの、やっと直って帰ってきた。」
…返ってきた、と打つべきところですけどね。なんとなく、「帰ってきた」の方が、彼女の感覚に合うような気がして。
その日は「ふう〜ん、そうなの。長く掛かったね。」で終わったのだけど、翌日、お店の準備をしている彼女とカウンター席で話していて、また時計の話題になりました。
「随分、時間掛かった、よね?」
「そう。1年8ヶ月。」
「80ぐらいのおじいさんの時計屋さんで、いつどうなるかわからないから、早くかえしてもらった方がいいって、いろんな人から言われた。」
「私も心配になって、時々、おじいさんの仕事の進み具合を見に行った。」
なんでも、お店を開いたときに、人から譲ってもらった時計だというのです。
ちょっと年代を感じさせる時計。
亡くなった節夫さんとの思い出の時計。
「全部ばらして、大変だったのよ。部品の壊れたところは、合う部品を探してきて、をしてたから。」
「でもねえ、私、その人を信じてよかった。その人、本当に時計が好きな人なの。」
「それで、ね。壁に時計を掛けるとき、娘さんのお婿さんが手伝いに来てくれて、掛けてくれたんだけど。」
「おじいさん、ここで、こうやってうつむいて、いや、もうちょっと右、とか言うけど、時計の方を見ないの。」
「時計の音を聴いてるの。それで、時計の左右の傾きがないかを、判断してた。」
「…私、感動した。」
おじいさんが立っていた場所で、ちょっと前屈みになって再現した彼女の話を聞いたあと、小さな老人が、そこに佇んでいるのを私は見ました。
…時計が朝10時を打ちました。
画像は、朝、お店に差し込んだ光だけで撮ったもの。少しブレました。